業界、経済回復に期待 県緊急事態解除 県内旅行喚起実施へ


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 玉城デニー知事は27日の記者会見で、県独自の緊急事態宣言を28日で解除すると発表した。県内全域での飲食店の時短営業は1カ月半にわたって続き、航空便の減便などで観光業界も大きなダメージを受けてきた。宣言解除の発表を受け、産業界からは経済の回復に期待をかける声が上がった。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「見込み通りに宣言が解除されることになって、ひとまず良かった。食材や酒の卸など、飲食店に関わる産業にとっても大きい」と喜んだ。一方で、解除によって客が増え、感染が拡大することを懸念している。「まだまだ対策が不十分な店もあり、リバウンドが怖い。今後は、対策を徹底している店を客が選ぶようになる。繰り返し、口を酸っぱくして対策徹底を呼び掛けていく」と話した。

 県独自の緊急事態宣言は解除されるが、国の緊急事態宣言が出されている、東京など1都3県との不要不急の往来は引き続き自粛するよう求められている。県は3月10日から、県内旅行の需要喚起のために「おきなわ彩発見キャンペーン」第3弾を実施する。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は、3月中は航空各社の減便が続くことも踏まえて、県の緊急事態宣言が解除されてもすぐには観光産業の回復にはつながらないと見る。「県内観光事業者の経営維持を最優先した上で、県外市場が活性化するまでの間は、県内旅行で消費を回すことが必要だ」と強調する。

 ツーリズム産業団体協議会として、「Go To トラベル」の再開なども要請していく予定だ。下地会長は「Go To トラベルはプラスの要素も大きい。冷静に判断して、可能な範囲で早期再開を求めていきたい」と話した。

 一般県民へのワクチン接種は夏以降という見込みで、収束は不透明な状況が続く。

 県商工会連合会の米須義明会長は「経済が回復するまでにはまだ時間がかかる。解除後も、当面は行政の後押しが必要だ」と話し、協力金支給対象外の業種に対する支援を引き続き求めていくとした。