【記者解説】「クオータ制」待望論、男性優位打破には「仕組みから」 女性議員アンケート


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 女性市町村議員アンケートでは、女性議員を増やす方策として、議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を求める声が最も多かった。男性優位の地方議会でなかなか女性議員が増えない現状や、自身の経験などを通して、仕組みを変えなければいけないという認識の表れともいえる。 (座波幸代)

 2018年に、国会や地方議会選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党や政治団体に求める「政治分野における男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)が施行された。だが19年12月現在の総務省調査では、県内市議会の女性議員の割合は11・5%、町村議会が8・2%で、全国平均より市議会で5・1ポイント、町村議会では2・9ポイント下回った。

 本紙がアンケートを実施した20年12月現在、県内41市町村のうち、13町村で女性の議員がいなかった。調査に回答した女性議員ら自身も立候補前は「選挙」「政治」に対するイメージが限定的で、「男性のもの」という固定観念があったことも明らかになった。

 一方、「資金が潤沢にないとできない。立派な後援会組織がないとできない」という以前の認識が「選挙資金が潤沢になくても、できる限りの予算で選挙をすることができる。後援会も手づくりで素人選挙のような選挙戦だったが、自分なりにどぶ板選挙に徹し、地元を歩くことに重点を置き活動した」(上地寿賀子南城市議)というように、実際の経験を通して実像が分かることがある。固定観念を打破し、女性をはじめ、多様な人々が政治や選挙を身近に感じ、当事者意識を持てるような機会や取り組みが必要とされている。


<用語>クオータ制

 クオータは英語の「割り当て(quota)」のこと。国会や地方議会などの議員選挙で、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる制度。世界約130カ国が導入しており(1)議席割当制(2)法的候補者クオータ制(3)政党による自発的クオータ制―の3種類がある。