女性活躍推進策を 富原 加奈子氏 県経営者協会女性リーダー部会長<次期振計骨子案 私はこう見る>(1)


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県経営者協会女性リーダー部会長。沖縄振興審議会委員。りゅうせき商事社長、りゅうせき取締役などを経て、琉球銀行社外取締役。

 次期沖縄振興計画に盛り込むべき女性活躍などについて、県経営者協会女性リーダー部会でもアンケートを実施するなど、生産性の向上や働き方改革を含めて議論してきた。

 女性の活躍が進まないのは、女性の意識の問題と思われがちだ。だが、働く意欲はあるのに思うように能力を発揮できなかったり、離職せざるを得なかったりするのは、主に働く環境に原因があると考えられる。

 女性の意識改革より、組織における経営層を対象に、女性活躍の成功事例などの紹介を通して、組織内の環境改善や業績向上につながることを理解してもらうための取り組みが必要だ。

 沖縄県は人口増加というが、コロナ前は人手不足が課題だった。その中で女性の力は大きなリソース(資源)であり、生産性向上には今ある資源を活用していかなければならない。

 日本の生産性は海外に比べて低く、沖縄は全国で最も低い。そこを改善しないと、県経済の発展や県民の豊かな暮らしに向けていくら美しいプランを作っても実行に移せない。県の計画に数値目標は掲げられるが、それを実現する具体策に乏しい。

 例えば、骨子案の基本施策に、県民所得の着実な向上につながる企業の「稼ぐ力」の強化があり、DX(デジタルトランスフォーメーション)やイノベーションの促進による生産性の向上が掲げられた。そこに女性活躍推進を盛り込めないか。女性の持つ消費者目線は市場開拓や商品開発に発揮できる。複数の作業を同時に処理するマルチタスクを担うことが多い女性はICT(情報通信技術)活用もたけている。

 アフターコロナの働き方にテレワークが当たり前になる中、生産性の向上は不可欠だ。個々人のライフステージに応じた多様な選択肢のある働き方は、女性を含め多くの人に必要だ。女性活躍を掲げる玉城県政が取り組む、新たな振興計画に女性活躍推進を盛り込んでもらいたい。

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 2022年度からの新たな沖縄振興計画の策定へ向け、県が1月末に発表した骨子案について、経済関係者や学者、若手のリーダーらから意見を聞いた。

 県は2022年度からの次期沖縄振興計画の骨子案に対するパブリックコメントを募集している。2月28日まで。申請方法は電子申請や電子メール、ファクス、郵送で受け付ける。問い合わせは県企画調整課(電話)098(866)2026