立民県連、県内政局に影響力 「オール沖縄」内勢力図も焦点


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 県内革新政党の代表格として知事選など各種選挙での候補者擁立の局面などで影響力を発揮してきた社民党県連が分裂した。同県連は照屋大河県議を筆頭に党員68人で再出発となるが、求心力が低下することは確実だ。一方、仲村未央県議を筆頭に党員の過半数が合流する立憲民主党は昨年11月に県連組織が発足したばかりだが、社民勢力との合流で県内政局に一定の影響力を持つことになる。

 県議や市町村議員を含めた党員164人のうち、立民への合流を視野に離党したのは96人と、半数を超えた。元々党に所属する県議、市町議員の計15人の内訳を見ると、離党組が7人、残留組が8人とほぼ拮抗(きっこう)する。

 ただ、党員離れによる社民党のさらなる弱体化は避けられず、来年の参院選で公選法が定める政党要件を失う可能性もある。一方、150人規模の国会議員を抱える立憲民主党は、地方組織に強みを持つ社民党との合流で、さらなる党勢拡大に期待を寄せる。

 今回実現した社民と立民との合流は次期衆院選にも直結する。現時点で、県内4選挙区で立民の公認が内定しているのは3区の屋良朝博氏と新人で4区から出馬予定の金城徹氏の2人。社民党唯一の議席である2区は、照屋寛徳氏の後継である前北中城村長の新垣邦男氏が社民公認として出馬する意向だが、選挙区内からは組織態勢の弱体化を懸念する声も上がっている。

 一方で、県政与党内からは「『オール沖縄』勢力の一員として衆院選では菅政権と対峙(たいじ)していく。大勢に影響はない」と冷静な受け止めも聞かれる。社民党はこれまで「オール沖縄」内で主導権を発揮してきたが、今回の合流で「オール沖縄」内の勢力図がどう変化するかも焦点となる。

(吉田健一)