「クエスチョン」の私、理解して…沖縄市で性の多様性イベント 資金募る


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 【沖縄】自分の性や恋愛対象がはっきりしない「クエスチョン」(Q)を自認する比嘉利加さん(29)=南城市=が、自身が育った沖縄市南桃原の自治会と合同で、性の多様性へ理解を深めるイベント「PEACH FES IN 南桃原」を開催する。クラウドファンディングでイベントの開催資金を募っている。

「PEACH FES IN 南桃原」を企画した比嘉利加さん(左)と島袋由香南桃原自治会長=16日、沖縄市の南桃原公民館公園

 イベント開催のきっかけは、LGBTQ当事者が賃貸物件の入居を拒否されたというインスタグラムの投稿だった。「当事者を受け入れる環境を地域からつくりたい」と、南桃原自治会の島袋由香会長に企画を持ちかけた。島袋会長は「一人でも理解者が増えることで、悩みを抱える人が打ち明けやすくなる」と快諾し、取り組みを後押しする。

 開催場所は幼い頃から親しむ南桃原公民館公園を選んだ。地域の高齢者や子育て世代などが、個々の多様性を受け入れることで「当事者が暮らしやすい社会づくりにつながる」と考えている。LGBTQ当事者によるトークや写真展、ステージ演舞、物品販売などを予定する。会場にはアライ(理解者)を含めたコミュニティーブースを設置し、交流を深めることを目指す。

 比嘉さんは南桃原の子ども会や青年会に入り、エイサーに熱中した。男性が担うことが多い大太鼓で演舞したこともある。「性別に関係なく自然と受け入れてくれた仲間に感謝している」と振り返る。

 性的指向を自覚したのは20歳前後だった。当時、男性の恋人がいたが、違和感を抱くようになった。その後、女性と付き合い始めた。数年後、家族にカミングアウトした。「打ち明けるのに何時間もかかった」。家族は理解を示した一方で、十分でないとも感じる。イベントを通じて「身近な周囲の人に認めてほしい」と願う。

 比嘉さんは「大人が考えることで子どもの理解にもつながる」と話し、参加と支援を呼び掛けた。イベントは3月28日午前11時~午後5時に行う。クラウドファンディングはサイト「キャンプファイア」で支援を受け付けている。期間は28日まで。(下地美夏子)