あまりにも経済偏重 石垣綾音・まちづくりファシリテーター<次期振計骨子案 私はこう見る>(3)


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 有志で骨子案の1章から3章までを読み込んでいる。その中ではもう少し人権の尊重についての記述がほしいとの指摘があった。骨子案にも書かれているSDGs(持続可能な開発目標)の理念には生活環境や多様性の確保が求められており、全部つながってくる話だ。

 私が何より強く感じたのは、全般的に経済の視点でしか書かれてないという点だ。私たちが今直面している問題とは、経済重視でやってきた人間活動が、社会の平等性を崩し、地球環境にも多大な負荷を与えていることだ。

石垣綾音氏

 骨子案では、自然環境を守ろうという文脈の一つにしても、豊かな自然環境が人々を引きつけるソフトパワーの材料になるから守るというように書かれている。少子高齢化についても労働力不足の観点から記述される。労働力が不足するから高齢者や女性が必要と書かれており、突っ込みを入れたくなった。

 人間は地球環境の中に閉じ込められていて、それが壊れてしまうと元も子もない。だから骨子案では社会・経済・環境が三角形になっているのがおかしいと思った。本来は環境という大きな丸の中に人間社会があって、人間社会をうまく動かすために経済があると思う。

 まずは環境を考えてほしい。人間が尊厳を持って生きられる社会を構築して、その上で経済をいかにうまく回していくかという考え方が必要ではないか。

 もちろん経済は重要だ。全てにおいて環境を優先してほしいとは言わないが、今はあまりにも経済偏重になっている。経済的な価値がないものは保護しないといった記述にも受け止められる。県はもう少し社会と環境についてバランスを取った計画にしてほしい。このままでは「誰一人取り残さない社会」の構築は実現しない。

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 石垣 綾音 1990年、那覇市生まれ。「人と土地をつなぐ、コミュニティーをエンパワメントする」をモットーに、県内さまざまな個人や団体とまちづくりに関わる活動をしている。

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 県は2022年度からの次期沖縄振興計画の骨子案に対するパブリックコメントを募集している。2月28日まで。申請方法は電子申請や電子メール、ファクス、郵送で受け付ける。問い合わせは県企画調整課(電話)098(866)2026