米軍機低空飛行「ばかにしている」「兵士に伝わっているのか」憤る住民


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 米軍の訓練空域ではない慶良間諸島や国頭村周辺で18日、米空軍のMC130J特殊作戦機とみられる大型機が低空で飛行した。大型機の低空飛行は県内各地で確認されている。県などは中止を求めているが、状況が改善される様子はない。県民の声を無視する形で低空飛行が繰り返され「住民をばかにしている」と怒りの声が上がった。

 昨年12月からたびたび大型機の低空飛行が目撃されている慶良間諸島。18日午前の訓練飛行では島の合間を縫うようにして、100メートル未満の低高度で飛行したとみられる。座間味村と渡嘉敷村は1月、沖縄防衛局などに低空飛行の中止を求めた。宮里哲座間味村長は「切実な声を聞かず、村民の不安や恐怖をあおることに強い憤りを覚える」と述べた。

 国頭村の辺戸岬では、観光客のいる岬をかすめるようにして機体が通過した。村は17日、沖縄防衛局などに観光地や集落周辺で飛行訓練を実施しないように求めていた。

 知花靖村長は「米軍機を運用している現場の兵士まで、われわれの要請がきちんと伝わっているのか」と疑問視した。県外でも同様の訓練があることを指摘して「全国知事会なども国に中止を求めてもらいたい」と切望した。

 多くの観光客が訪れる読谷村の残波岬でも16日、大型機の低空飛行が確認された。機体は恩納村側の海上から残波岬に向けて飛行。灯台の内側を旋回して海岸沿いを南下した。居合わせた観光客の中には身をかがめる人もいたという。

 訓練を目撃した同村の40代男性は「観光客から、この高度が普通になっている沖縄(の状況)はおかしいと声を掛けられた」と振り返った。


<用語>MC130J

 米空軍嘉手納基地に2014年から配備されている新型の特殊作戦機。電子作戦器などが装備され、レーダーに探知されないよう低空飛行することもある。16年12月に名護市安部で発生したオスプレイ墜落事故では、空中給油中にオスプレイの回転翼とMC130Jの給油口が接触し、事故につながった。