栄養満点「宝石箱のような弁当」で困窮世帯支援 沖大生が50食を提供


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企画した朝比奈操さん(最後列左)と弁当を作った学生たち。ゴージャス理枝さん(前列左から2人目)が弁当配布に協力した=13日、那覇市総合福祉センター

 お母さんが笑顔になるお弁当を―。新型コロナウイルスの影響を受ける困窮世帯を食を通して支援しようと、沖縄大学管理栄養学科1期生の有志12人が手作り弁当50食を無料で提供した。バレンタインデー前日の13日、那覇市総合福祉センターでは学生たちが調理に励み、配布協力団体「女性を元気にする会」代表のゴージャス理枝さんに弁当を託した。

 弁当作りは、同大学が学生の企画をサポートする「チャレンジ沖大生」の取り組みから実現した。沖縄の貧困問題の現状を知ろうと、同学科2年の朝比奈操さん(39)は昨年12月、ゴージャス理枝さんに講話を依頼。関心のある学生が声を掛け合い有志12人が集まった。同大学から支援金10万円、那覇市社会福祉協議会から卵100個、バナナ50本、米7キロの提供があった。

県産野菜を使用したボリュームたっぷりの手作り弁当=13日、那覇市総合福祉センター

 弁当はハンバーグにエビフライ、フライドポテトなど、ボリュームたっぷりのおかずがそろった。ビーツや島らっきょうなど新鮮な県産野菜を使用した副菜も入り、全12品目の華やかな弁当が完成した。メニューとともに「ささやかですがこのお弁当で日頃の疲れを少しでも癒やせたら―」とメッセージを添え、手作りチョコレートも用意した。弁当を積んだ車を見送った朝比奈さんはほっとした表情で「不安もあったが頼もしい仲間や協力団体のサポートのおかげで実現できた」と語った。

 弁当のふたを開けた同学科の新垣慶子准教授は「学生一人一人の思いが詰まった宝石箱のようなランチボックスだ」と目を輝かせた。「困窮世帯の大変さや沖縄の課題を知って、どのような支援ができるかを考えて実行できる力を身に付けてほしい」と話した。

 後日、弁当の配布先から学生らに「久しぶりに子どもと笑顔で食事を取ることができた」「栄養について学んでみたい」などの感想が届いた。朝比奈さんは「やってよかった。学生のモチベーションにもつながる。今後も地域支援を継続していきたい」と話した。

(関口琴乃)