首里城再建、県民が参加するには? 琉球史の学び直しや工事の公開を 那覇でシンポ


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首里城再建に向けて県民参加のあり方を考えた首里城再興研究会主催の「第2回公開シンポジウム」=那覇市の県立博物館・美術館

 首里城再建に向けて県民参加のあり方を考える「第2回公開シンポジウム」(首里城再興研究会主催)が13日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。歴史や考古学の研究者、陶芸家、ライター、アーティストら幅広い分野の6人が意見を交わした。県民が再建に主体的に関わるために県内の職人による技術協力、県民が琉球史を学び直す必要性、工事過程の公開などが提案された。約90人の来場者が聞き入った。

 名桜大大学院研究科長の波照間永吉さんは「われわれの力で首里城をつくっていくという基本的な立場を持ち続け、県民一人一人が形ある物(首里城)に思いや思想を込めることが重要」と話した。その上で、再建過程を通して琉球王国時代に宮古・八重山などに課せられた人頭税の歴史を含む琉球史を学ぶ必要性を説いた。

 壺屋陶器事業協同組合理事長の島袋常秀さんは、正殿の屋根にある龍頭棟飾りの製作に同組合が関わりたいとした上で「陶芸と彫刻の両方の技術が必要で、彫刻家と陶芸家が一緒につくる仕事だ。かなりの話し合いをしていかなければならない。簡単ではないだろうが貢献したい」と意欲を示した。

 アーティストの喜納昌吉さんは、多額の寄付が集まった首里城基金について、何に使うのかを明らかにして「活用してほしい」と透明性の担保を望んだ。

 国は首里城再建の工事を主導し、復帰50年に当たる2022年度から正殿の本体工事に着手する方針を掲げている。これに対して、フリーライターの安里英子さんは「華やかな行事の裏側にあるものを冷静に見なければならない」と警鐘を鳴らした。「宮古や八重山では住民から反対の声があるにもかかわらず、国が自衛隊の配備を推し進めている。日米の共同訓練も始まっている」と危機感を示し「小さい地域が虐げられる構造は過去から変わらない」と強調した。

 他に元県立埋蔵文化財センター所長の安里嗣淳さん、県立博物館・美術館館長の田名真之さんが登壇した。沖縄大非常勤講師の親川志奈子さんが司会を務めた。