【識者談話】PFOS濃度は普天間と同等 空自の調査は必須 原田浩二京大准教授


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原田浩二氏(京大准教授)

 今回検出されたPFOS(ピーフォス)の濃度は昨年4月に普天間飛行場から流出した泡とほぼ同じだ。流出した量は普天間の時と比べて少ないが、泡が固まって落ちた場所は汚染される。

 PFOSは発がん性や子どもの発達への影響が懸念される。航空自衛隊は基地外に泡がどの程度、どこに拡散したのか特定しなければならない。一方で今から調べたとしても、泡そのものは消えていて特定が難しい。空自の対応は後手になっていた。市民からの情報などで泡が多く付着していた場所を探し、環境への影響などを調査すべきだ。

 PFOS以外にも有機フッ素化合物が検出された。空自は琉球新報に「業者に問い合わせてほしい」とコメントしているが、消火剤の成分を十分に把握せず、公表できないのであれば「毒性や損傷性はほとんどない」とする根拠に乏しい。

 なお、泡を保存したプラスチック製コップの成分にはPFOSなどの有機フッ素化合物の付着は確認されなかった。一方、分析されるまでの輸送中に有機フッ素化合物成分の一部が分散し、実際より低い数値が出た可能性がある。

 国内の基地施設などでは非PFOSの消火剤に交換する動きがある。交換後もPFOSが残留しているケースがあるとすれば、全国的な問題だ。今回、琉球新報が泡を採取し分析しなければ、非PFOSの消火剤に交換したとしても、PFOSが拡散されたままになっていたかもしれない。
 (環境衛生学)