【自主防災組織の取り組み一覧】地域を守るには?5千人規模の訓練を毎年実施 独自で避難場所協定も


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避難行動要支援者とともに近隣の県営潮平高層住宅に避難訓練する住民ら=2011年5月、糸満市潮平

 地域の防災を担う、自主防災組織が県内では30市町村で389団体あることが、本紙の市町村アンケートで分かった。「自分たちの地域は自分たちで守る」―。地域の特性に応じた防災訓練や行政には踏み込めない地域ネットワークを生かした避難行動要支援者への支援など、地域密着型の取り組みを紹介する。

 「飽きさせず継続できる防災訓練」を掲げ、2008年に設立した、糸満市の西崎ニュータウン自治会防災会。海抜3・2メートルに立地し、大きな地震などの際には津波被害が想定される。津波緊急避難ビルに指定されている県営の高層住宅が隣接するが、避難が難しい高齢者のために独自で近隣の民間アパートと避難場所に関する協定を結ぶなど、地域に根ざした防災活動も展開する。

 また、紙芝居やセラピー犬とのふれ合いの機会を設けるなど、子どもたちが楽しんで防災を学べる要素も取り入れている。

 同防災会は2019年、防災まちづくり大賞で最高位の総務大臣賞を受賞。同年、防災功労者内閣総理大臣賞を県内の自主防災組織で初めて受賞した。

 与那原町は、東日本大震災を機に町内13の行政区すべてで自主防災組織を結成した。それに加え、町全体を網羅した地域防災力強化に向けて、県内初の全自治会が加入する自主防災組織連絡協議会を2014年に発足した。会の発足により、町内の津波浸水想定区域内にある保育園、幼小中学校、老人福祉施設などの関係者、防災機関などが一堂に参加した5千人規模の避難訓練を毎年実施している。地域ごとの避難目標や課題、避難支援体制などの情報も共有する。

 そのほか、「東部地区沿岸部は津波避難、内陸部は炊き出しやAED訓練が多い」(沖縄市)、「沿岸地区は津波想定、高台は避難者支援訓練」(北中城)など、それぞれの地域が抱える災害リスクに必要な避難訓練を実施している自主防災組織もあった。