台湾産パインの中国輸入停止、日本へ輸出拡大か 沖縄の生産者への影響は?


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 中国政府が台湾からのパイナップル輸入を停止したことを受け、台湾では日本への輸出拡大への期待が高まっている。蘇貞昌行政院長(首相)は「日本向けを(昨年の)約2100トンから5千トンに引き上げを目指す」と表明している。

 一方で、国内最大のパイン生産地である沖縄にとっては、輸入パインの増加で販売競合や価格低下といった影響が生じる可能性がある。県農林水産部は「国内に台湾産パインが大量に入ると、少なからず県産パインに影響が出るだろう。出荷団体から状況を聞いている」と話す。ただ、県産パインは5月ごろに出荷最盛期を迎えるため、「うまく台湾産と産地間リレーができれば影響は出にくいはずだ」と分析した。

 2018年度の県産パインの出荷量は7160トンで、缶詰などの加工用に2380トン、生食用に4780トン出荷された。品種改良が進み、生食用のパインの比率が高くなっている。

 今帰仁村でパインを栽培する大城正吉さん(64)は、新型コロナウイルスの影響による消費減少でパイン価格が低下していることを指摘し、「まだ収穫時期ではないが、競合が増えることで値段が下がらないか少し心配」と話した。一方で、東日本大震災では台湾から多くの支援を受けてきたことについて触れ、「今度はこちらが台湾を助けてあげたい気持ちもある」と語った。

 県内のパイン産業自体が、戦前に台湾の移住者が八重山で栽培技術を伝えたことが始まりとされ、台湾とのつながりがある。

 石垣市の川原地域でパインを栽培する具志堅正さん(59)は、中国が台湾に圧力を加える状況が続けば、台湾の特産品であるマンゴーにも同様の輸入停止措置が科されかねないと推測し、「パインだけでなく、今後の行方に不安を感じているマンゴー農家もいる」と話した。