芸人、俳優、画家、書家、ボクサー、ヨガマスターなど多彩な「顔」を持つ片岡鶴太郎氏による展覧会「画業25周年・芸能生活45周年記念 片岡鶴太郎展 顔―faces―」(主催・琉球新報社、片岡鶴太郎展 顔―faces―実行委員会)が13日(土)から浦添市美術館で開幕した。片岡氏の展覧会は県内で12年ぶりの開催。日本の「顔」の富士山や「画家の顔」誕生の原点となる椿を題材にした作品に加えて、風景や植物、人間、動物などを油彩画、日本画、墨彩画、染め付けなど多様な技法で表現した100点以上の作品を展示している。「片岡鶴太郎展 顔」の開幕を前に片岡鶴太郎氏に画業や絵に対する思いなどを聞いた。(聞き手・問山栄恵)
詳しいイベント情報はこちらから→片岡鶴太郎展 顔-faces-
―画業25周年、芸能生活45周年を振り返って思うことは。
「あっという間でした。自分としては年月の経過を感じていません」
―画風の変化は。
「その年、その年で絵も変わってきています。初期は『色』に目覚めて、色で表現していました。そういう時期が7、8年ぐらい続き、その後は少し色を控える作業が2、3年続きました。日本画の技法を習得し、日本画のクリアな色でもって表現していく時期もあり、(今は)線ではなく面で描く、空気感で描くように変わってきました。5、6年周期ぐらいで実験的な作業をやっています。25年、いろいろとやって表現方法を手の中に入れてきたという感じがします。今も表現したいことが出てくるので、新たな表現方法への挑戦は尽きません」
―絵を描く時に大切にしていることは。
「これを描きたいと思う時、どういう風に表現するのか、油絵で描くのか、墨で描くのか、日本画で描くのか、自分がどう表現したいのかによって全部変わります。これまで、身に付けた技法を駆使して描きます」
―描きたいと思うものは。
「日常生活の中にあるものです。近くで咲く椿を描いたり季節の魚を取り寄せて描いたり、その四季の中で生きている姿に惹かれます」
―タイトル「顔 faces」に込めた思いや展覧会の見どころは。
「25年間をまとめてみると、絵にもいろいろな顔があると思っています。僕自身も物まね、お笑いから始まってボクシングをやったり、ドラマをやったり、ヨーガをやったりといろんな顔があると受け止められているから、いろんな顔を展覧会の中に織り込みたいと思います」
「『顔』のテーマで、日本の顔は何だろうと思った時、それは富士山ではないかと考えました。メインビジュアルの作品『鯉不二(こいふじ)』は富士山をメインにして、滝を登って龍になるという伝説がある鯉を取り入れました。鯉が富士山を回って私たちを守っているというストーリーを基に描きました。展覧会では富士山の作品と映像をコラボさせた展示もありますので楽しみにしてください」
―芸人、ボクサー、画家、ヨーガマスターと、いくつもの顔がある。自らの可能性の扉を開く秘訣は。
「誰しも自分にしかできない、やるべきものが絶対にあります。自分と対峙して自分は何がやりたいのか、魂の叫びやサインを受け止めて、自分を信じてほしいです。自分の意識よりもっと深いところにある『これをやりたい』という『seed(種)』に毎日、水をやって手塩に掛けて花を咲かすしかない。魂を歓喜させて生きていくことが一番の幸せで、これを絶対に忘れないでほしいです」
―県民や沖縄のファンへ一言を。
「新型コロナウイルスの感染拡大でほかの展覧会がキャンセルになる中、沖縄で開催できることに感謝してうれしく思います。美術館で原画を見ていただき、皆さまの力になれたり、ほっとできたり、絵を見て良かったと思えるような展覧会になるようにスタッフ一同、精いっぱい努めます。展覧会の前に沖縄に入り沖縄ならではの作品を描いてお見せしたいです。原画は私の肉筆であるから、そこに込めたハートを受け取っていただけたら本当にうれしいです」
片岡氏の作品を一部紹介
味わい深くも不思議な魅力にあふれた作品の一部を紹介する。片岡氏の作品への思いも記す。
………………………………………………………………
かたおか・つるたろう 高校卒業後、片岡鶴八師匠に弟子入り。3年後独立しバラエティ番組出演を機に人気者となる。俳優では幅広い役柄を演じ、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞など数多く受賞。画家では1995年に東京で初個展を開催。2017年にインド政府公認プロフェッショナルヨガ検定に合格し、ヨガマスター・インストラクターの称号を授与される。