家にいながら、自宅付近のスーパーから買い物ができる「ネットスーパー」。新型コロナウイルスの感染が広がった2020年4月から、利用者数が急増している。外出自粛ムードが続く中で、高まる「巣ごもり消費」の需要に合致した形となり、入会・注文件数を一気に押し上げた。
今後、利用者の定着や、離島など人口が少ない地域までの配送ルートの構築など、各社のサービス展開が注目される。
14年からネットスーパー事業に参入したサンエー(宜野湾市)は昨年、感染拡大の第1波から登録会員数が右肩上がりに伸びた。20年の登録会員数は前年と比べ1・8倍で、注文件数も1・5倍と好調に推移してきた。同社経営企画部の山川広大さんは「生鮮食品や日用品など購入商品の全体が伸びてきた。特にベビーフードの伸びが特徴的だった」と話した。コロナ下で子育て世代のネットスーパー利用が目立った。
サンエーは現在、沖縄本島の6店舗を中心にネットスーパーサービスを展開しているが、離島の要望も多く来ているという。山川さんは「配達には人員や車両などの確保が必要になる。早い段階で(離島まで)エリアを広げていきたいとは考えている」と述べ、配送網の構築がサービス拡大の鍵を握る。
イオン琉球(南風原町)は本島内のほか、離島の宮古島市や石垣市までネットスーパーの対象エリアとしている。昨年の会員数は前年の約1・3倍となり、注文件数も1・2~1・3倍に伸びた。コロナ下で既存会員の利用頻度も高くなっている。
同社管理本部の松岡正晃統括部長は「昨年4月に注文件数が爆発的に伸びた。しばらくの間、連日発注上限の9割まで注文が殺到し、本部の従業員らが応援で駆り出されたこともあった」と振り返った。
昨年4月からは、自宅への配送に加えて、ドライブスルーで注文した商品を受け取るサービスをイオン南風原店とイオン那覇店で始めた。
松岡統括部長は「非接触での買い物需要が高まっている。ドライブスルーを含め、ニーズに合わせた商品の受け渡し方を展開していきたい」と意気込む。
協同購入の商品を自宅付近や自宅まで届けるサービスの先駆けであるコープおきなわ(浦添市)も、昨年から利用者数が好調に推移している。20年4月~21年2月までの利用者数は前年同期比10%増の約5万人となった。これまで40、50代の利用が多かったが、新たに20、30代の加入が増えたことで、協同購入事業の売り上げが25%増と伸びた。
協同購入支援部の喜納貴尋部長は「毎週同じ担当者が同じ時間帯に、商品を利用者に届ける。コロナ下で知らない人と会う心配もなく、安心できる」と利用増加の背景を説明する。
コープおきなわは1976年に県内の主婦を中心に出資して作った組織だが、県民にとって認知度がまだ高くないという。喜納部長は「新たなサービスの展開には、もっと多くの人の加入が必要になる。これまで口コミで組合員数を広げてきたが、PR活動をさらに強化していきたい」と展望を語った。
(変革沖縄経済取材班 呉俐君)