主戦の新川、冬の鍛錬で進化 勝てる投手へ<具商・初センバツ 全員力で挑む>下


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秋季九州大会準々決勝・福大大濠戦に先発した新川俊介。九州での反省を糧に、勝てる投手へと進化を続ける=2020年11月、長崎県営野球場

 「甲子園で投げるのが夢なので、勝ち続けてマウンドに立てるよう冬に鍛え直したい」。昨秋の九州大会終了直後、主戦の新川俊介が口にした決意だ。県大会で控え投手だった新川は、九州でエースナンバーを背負い、初となる完投も成し遂げた。昨秋に続き、選抜でもエースの座を勝ち取り「夢の舞台で投げるのは緊張するが、チームが勝てる投球をしたい」と聖地へ乗り込む。

 冬は制球力や球威向上を目指し、走り込みやスクワットで下半身を強化した。上半身と下半身の連動した動きでフォームのぶれも減ったからか「軽めに投げても球が伸び、変化球の速度も増した」と語る。マスクをかぶる比嘉力太も新川の変化を実感。「直球の球威が増したことで変化球の有効性が広がり投球の幅が広がった」と緩急を付けた投球で勝利をイメージする。

 「マウンドに立ち続け、勝てる投手になりなさい」。具志川商で甲子園を目指し、エースとしてチームを率いた喜舎場正太監督の思いを新川が引き継ぐ。

 オフにはスライダーやスプリットを磨き、新球種を習得した。初戦の八戸西は、昨年の秋季大会でチーム打率3割5分をマーク。中軸には打率5割超の主砲も待ち受け、新川にとって気を抜くことはできない。「相手は積極的に振ってくる。三振も取りたいが変化球を混ぜながら確実に打ち取る」と気合十分だ。

 「堅守からチームに良い流れを持ってくる投球をする」。夢だった甲子園での登板まであと2日。具商の歴史に刻まれる初出場の新たなページ。そこに初勝利の文字を加えることを思い描き、静かに激しく闘志を燃やす。
 (上江洲真梨子)