沖縄経済の実質成長率2.7~7.9% 21年度 コロナ後の3ケース予想 NIAC推計


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 南西地域産業活性化センター(NIAC、大嶺満会長)は22日、2021年度の県経済の見通しを発表した。新型コロナウイルスの感染状況によって大きく変化が予想されることから、主に入域観光客数によって三つのケースに分けて推計した。実質成長率は、標準ケースでプラス4・7%程度、急回復ケースで同7・9%程度、回復が弱いケースで同2・7%程度と見込んでいる。

 NIACは20年度の実質成長率について、新型コロナの影響でマイナス9・8%程度の落ち込みになると推計している。21年度はいずれのケースも、ワクチン供給や、感染症に対するノウハウの蓄積などにより、20年度から一定程度回復するとみている。 

 標準ケースは、新規感染者の減少を前提に、海外旅行を避けて国内旅行に振り替える動きも予想されることから、入域観光客数を約480万人と想定した。名目の県内総生産は、4兆3020億円を見込む。

 個人消費は外食、旅行などの支出が持ち直し、20年度比プラス2・7%程度と見通す。

 民間設備投資は、建設投資が弱含むもののデジタル化への対応などで増加し、同5・2%程度の成長を予想している。

 完全失業率は、業況回復に伴って就業者数が増える一方で、求職者も同程度増加すると予想し、20年度と同水準の3・6%程度とみる。

 急回復ケースでは、観光客が約700万人まで回復し、財政支出の増額や、国内景気が標準ケースより上振れすることも前提としている。観光収入が大部分を占める移輸出は、同62・5%程度増の8840億円で、名目の県内総生産は4兆4460億円と見通す。

 回復の弱いケースは、変異株によってインバウンド(訪日外国人客)が見込めず、国内の感染状況も拡大と収束を繰り返す状況を想定し、観光客は350万人程度にとどまると想定。各項目ともに20年度よりは回復するものの低調で、名目の県内総生産は4兆2140億円と見通している。

 いずれのケースでも、民間住宅投資は、建築コストの上昇や貸家建設について金融機関が融資に慎重なことから、引き続き前年を下回ると推計している。

 詳細はNIACのホームページhttps://niac.or.jp/に掲載している。