人類館事件通し差別問題を討議 ニライ・カナイぬ会


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「人類館事件」と琉球人遺骨問題などについて討議する研究者ら=21日、那覇市の県立博物館・美術館

 1903年に大阪で沖縄の女性やアイヌ民族などの人々が展示された「人類館事件」をテーマにしたシンポジウムが21日、那覇市の県立博物館・美術館講堂で開かれた。全国の研究者らが現在に通じる差別、植民地主義について討議した。

 主催したのは、人類学者が戦前、研究目的で今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出した遺骨の返還を求める市民団体「ニライ・カナイぬ会」など。

 松島泰勝龍谷大教授は、「学術人類館」で展示された女性について「寄留商人にだまされて監禁された被害者だ。当時、人権上の差別問題として批判された」と述べた。人類学者による遺骨持ち出しと「琉球人の身体(遺骨)がモノとして扱われた点などが共通している」と指摘した。

 北原次郎太モコットゥナシ北海道大准教授や波平恒男琉球大学名誉教授、沖縄近現代史家の伊佐眞一さん、琉球遺骨返還請求訴訟の原告の亀谷正子さんらも登壇した。