うるま市長選、投開票まで1カ月 立候補予定者に聞く 経済振興や雇用は?教育は?


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【左から】中村正人氏、照屋寛之氏

 4月25日投開票のうるま市長選まであと1カ月に迫った。新人で前市議の中村正人氏(56)と、新人で沖縄国際大名誉教授の照屋寛之氏(68)が出馬を表明しており、一騎打ちとなる見通しだ。立候補予定者の両氏に訴えたい政策などについて話を聞いた。 (聞き手・砂川博範)


〈中村正人氏〉望まれる人材を育成へ

 Q:意義と争点は。

 「現在の島袋俊夫市長が3期12年、うるま市政を担ってきた。その後継者として市議会与党議員らから擁立され、今回出馬する。現市政を継承し発展させていく考えだ。浦添市長選の那覇軍港移設問題のように、政策面で相手候補者と大きな違いがあれば『市政の継承か刷新か』を問えるが、今回の選挙はそう言えるのかどうか私は疑問だ」

 Q:新型コロナ対策は。

 「島袋市長に対し、ワクチン接種の早期実現などを申し入れた。うるま市は県内の市町村で、ワクチン接種が最も早く実施される自治体の一つとなった。PCR検査数を増やし、受けたい人がきちんと受けられる環境も整える。その一環として、県が行う検査費用補助に上乗せする形で、市の補助による費用負担軽減も要請した。安心して暮らせるまちづくりを進める」

 Q:経済振興や雇用問題への取り組みは。

 「うるま市には『国際物流拠点産業集積地域』に指定されている中城湾港新港地区がある。企業誘致を促進し、市内の人材を受け入れてもらえる環境を整える。企業に必要とされる技術者の育成も図る。学校と企業が交流を深め、社会で役立つ能力を身につけられる教育を実施する。雇用対策は人材育成の観点から見るべきだ。農漁業の分野では市の特産物への支援を強化していく」

 Q:教育や子育ては。

 「最優先課題は不登校者へのサポートだ。市内には昨年10月時点で約240人いるが、不登校にはさまざまな理由がある。社会復帰を目指すための居場所をつくる。彼らの能力を引き出せるよう心のケアを行う場としたい。それが人材育成にもつながると考えている。市内には既に『第三の居場所』が3カ所あるが、そこへの支援も続ける。保育施設の整備も進める」

 Q:米軍のパラシュート降下訓練については。

 「訓練の中身が明らかにされておらず、知らないことが多い。市議会では抗議決議を可決してきたが、それにとどまらず発展性を持たせたい。訓練の中身や訓練場水域について調査研究が必要だと思う。どのような訓練が行われているのか知ることがまずは大事だ」

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 なかむら・まさと 1965年3月生まれ。市田場出身。日本文理大卒。98年に旧具志川市議選で初当選し、6期22年務めた。

 


〈照屋寛之氏〉雇用拡大と所得向上へ

 Q:意義と争点は。

 「現市政の継承と変革のどちらを求めるかを問う選挙だ。うるま市が誕生して16年がたつが、市民の生活は上向いていない。当初期待されていた発展とはほど遠いのが実態。新型コロナウイルス感染症の影響で、閉塞感も漂う。島袋俊夫市長は頑張ってきたが、新しい風を吹き込むことが必要だ。市の将来を大きく左右する選挙になる」

 Q:新型コロナ対策は。

 「市民が安心した生活を送れるようPCR検査希望者がきちんと受けられる体制を整える。コロナ禍で解雇や雇い止めされた生活困窮世帯には10万円、資金繰りに窮する事業者などへは上限20万円を給付する。医療従事者が万全に医療が行える環境もつくる。任期4年間の市長給与を50%カットする。市民が大変な状況で、満額の給与をもらうわけにはいかない」

 Q:経済振興や雇用問題への取り組みは。

 「うるま市は農畜産業や漁業の特産物が豊富にある。モズクやニンジン、オクラをブランド化し付加価値を付けることで、販売網の拡大を図る。うるま市は沖振法で経済特区に指定されている。さらなる企業誘致を推し進め、雇用拡大と所得の向上につなげる。若者が夢を持つことができ、女性が輝ける社会をつくる。正規雇用での採用を拡充したり、起業をサポートしたりする施策を行う」

 Q:教育や子育ては。

 「人材はうるま市の財産。教育は未来への良質な投資だ。相当な力を入れたい。子育てにはお金がかかるため、学校給食費の段階的無償化、高校卒業までの子ども医療費の無償化に取り組む。返済不要の給付型奨学金制度も創設する。家庭の経済状況が子どもの教育や夢の格差へとつながってはいけない。学びたい人がきちんと学べる環境づくりを進める」

 Q:米軍のパラシュート降下訓練については。

 「市民の生活の場で訓練が行われている。一歩間違えれば市民の生命に危険が及ぶ。日本政府はきちんと対処していない。市長になったら、防衛省や外務省に行き直接抗議したい。市民の生命と財産を守ることが市長の責務だ。しっかりと抗議する姿勢を示す」

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 てるや・ひろゆき 1952年10月生まれ。市前原出身。日本大大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は行政学、政治学。