若手の熱演がファンを魅了 沖縄芝居研究会が成長の舞台


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心変わりをした加那(右・上原崇弘)にすがるハンドー小(知念亜希)=14日、西原町のさわふじ未来ホール

 沖縄芝居研究会(伊良波さゆき代表)が14日、西原町のさわふじ未来ホールで「歌劇の華々―いにしえを仰ぐ―」を開き、名作歌劇「伊江島ハンドー小」(真境名由康作)と現代歌劇「貞女と孝子」(我如古弥栄作)を上演した。成長著しい若手の熱演が、ファンを魅了した。かりゆし芸能公演(県文化振興会主催)の一つ。昼夜2回公演の夜の部を取材した。

 伊江島ハンドー小は、遭難したところを助けて恋仲となった伊江島の加那(上原崇弘)に裏切られて、死を選ぶハンドー小(知念亜希)の悲恋を描く。芯があり、高音にも届く知念の声が、ハンドー小の思いの強さを感じさせた。上原も悪役ながら、上背を生かした堂々とした立ち姿と所作に、色気を見せた。

 ハンドー小を島へ渡す船頭主を金城真次、ハンドー小のいとこ・マチー小を米盛未来が演じた。米盛はまだ少し声が細いが、高音部も取りながら長いせりふを十分に聞かせ、成長を感じさせた。

 加那の妻役の奥平由依は、はかなげな歌声が役柄に合っていた。玉城匠は、加那とハンドー小を引き合わせる、人情味あふれる村頭を演じた。表情からにじみ出る優しい立ち姿が、悲しみに満ちた物語に休息を与えた。ほか出演は、伊良波、嘉数道彦、伊藝武士、山城崚称ら。

 「貞女と孝子」でオリジナルの新聞を用いるなど、小道具でも楽しませた。若手がさまざまな役を演じ、成長に努める「研究会」の名前にふさわしい舞台だった。
 (藤村謙吾)