与那国「春の船出」…港に涙と笑顔 進学や離任、紙テープ舞う


社会
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 【与那国】今年も新たな旅立ちを見送る人々で与那国空港に人が集う季節がやってきた。連日のように、島外へと旅立つ人を見送る人々でにぎわっている。「15の春」を迎え島を旅立つ生徒、与那国島での勤務を終えて本島に戻る先生方など、空港のあちらこちらで児童、生徒や保護者、地域の人が見送りに集まる。3月27日は数年ぶりに久部良港でも見送りの人々でにぎわった。

離任する教諭と家族を見送りに集まった人々=3月27日、与那国町の久部良港

 この日、石垣港へ向かう「フェリーよなくに」に乗船したのは、与那国小学校、久部良小学校、与那国中学校を離任する3人の教諭。早くから港に集まった人々は、離任者を見つけると、尽きない思い出話をしたり、涙を拭いながらお礼を言う姿が目立った。

 久部良小を離任する宜保勇人教諭は、今月同小学校を卒業した娘の百香さんと、見送りに集まった人々の前に立った。

 児童会を代表して、上原琉希さん(同小5年)が「3年間、ありがとうございました」とお礼の言葉を述べると、宜保教諭は「本当に自分の子どものように思って関わった、かわいい子どもたちでした。僕は、世界一幸せです」と涙ながらに応えた。

 父の隣に笑顔で立つ百香さんも共に、新しい場所でも頑張る旨の言葉を添えた。

 フェリーでの別れとあって、学校や保護者が用意した紙テープの束が風に揺れ、港にいる人々と乗船した教諭らをつないだ。中学生が奏でる吹奏楽の音色と共に出港したフェリーからは、島の人々が見えなくなるまで大きく手を振り続ける教諭らがいた。

 別れを惜しむ人の中には、久部良バリや東崎(あがりざき)に車で移動し、船影が海のかなたに消え入るまで手を振り見つめている人もいた。

 別れを惜しむ与那国島の人々は、数日後には新たに着任する人々を笑顔で迎える。そのため、与那国空港は島民でにぎわう。

 (山本友紀通信員)