【識者談話】事故前から日常的に流出の可能性 空自泡消火剤からPFOS 原田浩二京都大准教授


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原田浩二准教授(環境衛生学)

 事故から約2週間たった航空自衛隊那覇基地内の水路からも高濃度の有機フッ素化合物が検出された。2月に採取された泡と異なる成分比の水が検出された場所もあった。今回の事故の影響だけではなく、事故前からPFOSなどが日常的に基地内の土壌に蓄積し、それが染み出て水路に流れた可能性もある。空自は基地内の土壌調査も実施し、汚染状況を把握する必要がある。

 環境省が約5年前に実施した全国規模の底質調査では、検出されたPFOSの最大値は、1グラム当たり0.69ナノグラムだった。基地近くの保育園の土壌からは、1グラム当たり0.4~1.8ナノグラムのPFOSが確認された。全国の最大値を上回る数値だ。現在、PFOSの土壌分析値に関する国の指針値がない。水質だけでなく土壌に関しても国は基準を早急に設ける必要がある。

 消火剤の流出事故はどこにでも起こり得る問題だ。現在、消火剤の交換は全国の駐屯地などで進められている。今回、空自は配管に残ったPFOS含有の泡消火剤を洗い流さなかった。消火剤の交換の仕方や交換後の消火剤の情報などを積極的に公開すべきだ。
 (環境衛生学)