子どもの居場所づくり急務 質の向上へ条例望む声も<うるま市長選・争点をみる>下


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うるま市内の児童館で過ごす地域の子どもたち

 うるま市に住む子どもの数は、この数年ほぼ横ばい傾向が続いている。今後3年間も、0~11歳児の数はほぼ変わらないと見込まれている。県内では那覇市と沖縄市に次ぎ人口が多い分、子どもの数も多い。島袋俊夫市長は教育や子育て支援に力を入れてきた。だが残された課題もあり、次期市長の実行力が試される。

 市内にはひとり親家庭も多く、支援が求められていた。市は2013年から「ひとり親家庭生活支援モデル事業」を始め、拠点となる「マザーズスクエアうるはし」を開設。スタッフがひとり親家庭の子に対し、学習や生活面で支援してきた。

 18年には「うるま市子育て世代包括支援センターだいすき」を設置し、産前産後のサポート事業として妊産婦の支援を拡充。待機児童については、保育所などの整備を進めたことで、ピーク時の333人から20年4月時点で66人にまで減った。

 こうした取り組みの中、市内で児童館などを運営する「りあん」の山城康代代表理事は市の施策を評価した上で「子どもの数に対して児童館の数がまだ足りない」と話す。市内には現在6カ所の児童館があるが、市は九つある中学校区ごとに児童館の設置を目指している。コミュニティーの場として機能する児童館が、子どもたちの自尊心形成に与える役割は大きい。

 山城氏は「子どもの権利条約」に基づいた市条例の制定も提案する。「子どもの意見が尊重され、利益が守られる社会づくりが大事だ」と強調する。今後は行政による居場所の提供だけではなく、その中身をどうするかが鍵となる。

 教育・子育て対策について中村正人氏は「最優先課題は不登校者へのサポートだ。市内には昨年10月時点で約240人いる。社会復帰を目指すための居場所をつくる。彼らの能力を引き出せるよう心のケアを行う場とする」と話した。保育施設整備や保育士不足解消も掲げる。

 照屋寛之氏は「学校給食費の段階的無償化、高校卒業までの子ども医療費の無償化に取り組む。返済不要の給付型奨学金制度も創設する」と強調した。そのほか、DV、児童虐待の実態を把握し、その対策を図ることや教育機関の誘致を目指すとした。
 (砂川博範)