アフガンでの功績語る 那覇で中村哲さん偲ぶ会


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中村哲さんとの思い出を語る作家の澤地久枝さん=10日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 長年の戦乱や干ばつにより荒れたアフガニスタンで井戸や用水路を掘り、緑の大地を復活させてきた非政府組織(NGO)ペシャワール会(福岡市)現地代表だった故中村哲さんを偲(しの)ぶ会(同実行委員会主催)が10日、那覇市の琉球新報ホールであった。縁のあった人たちがその功績や思い出を語り、自分たちにできることを考えた。

 ペシャワール会の村上優会長は、中村さんが現地で診療所を開く中で、医療の前に、安全な水を確保しようと井戸や水路を建設してきた経緯を写真や中村さんの言葉を織り交ぜて紹介した。

 日本の技術を基に現地の人と一緒に中村さんたちが作り上げた方法はアフガニスタン政府にも認められ、全国に広げようとしていた2019年12月、中村さんは凶弾に倒れた。中村さんが手掛けた事業ガイドラインは、村上さんらが今年完成させ、日本と現地の共同チームは現在も事業を進めているという。

 中村さんの人となりを著書「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」(岩波書店)に記した作家の澤地久枝さんは、中村さんの家族への思いや現地の人に愛されたエピソード、自衛隊の海外派兵を「有害無益」と国会で断じたことなどを紹介。心から湧き上がるままに言葉を連ね「中村さんを忘れず、自分に何ができるかを考えたい」と話した。

 駐日アフガニスタン前特命全権大使バシール・モハバットさんも東京から駆け付け「中村さんは、子どもから大人まで多くのアフガニスタン人に慕われるヒーローだ。みんな今も泣いている」と声を詰まらせた。02年に第1回沖縄平和賞をペシャワール会に贈った稲嶺恵一元知事、玉城デニー知事も登壇した。

 当日の動画は11日からオンラインでも公開する。