「県民所得、最下位を脱するには…」 沖縄振興計画 内閣府の担当局長が総点検結果を説明


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沖縄振興計画の総点検結果などについて話す原宏彰・内閣府沖縄振興局長=12日、那覇市のダブルツリーbyヒルトン那覇首里城

 内閣府の原宏彰沖縄振興局長が12日、那覇市内で開かれた沖縄経済同友会の特別講演会で「今後の沖縄振興について」と題して講演した。

 原氏は内閣府が3月下旬に発表した現行計画の総点検結果を説明し、観光、情報通信産業の成長や、小中学生の基礎学力上昇などの成果が見られた一方で、1人当たり県民所得は全国最下位にとどまっていると指摘。「最下位を脱するためには、年間で2千億円程度の県民所得の増加が必要となる計算だ。雇用者報酬を毎年増やして、企業所得を着実に上乗せしないと埋まらない」と話した。

 次期振興計画への政府の公的な立場は「白紙」とした上で、道路や橋など復帰後に集中的に整備した社会資本の老朽化を指摘した。「新規事業に目が向かい、社会資本の維持管理のような地味なものは優先順位が下がりがちだ。しかし、沖縄は高温多湿や塩害など自然的な影響があり、より深刻に考えなくてはならない問題だ」と話した。

 基礎的なインフラ整備は全国との格差が縮小しているとして、「次のターゲットを何にするか、県民全体の議論として考えてほしい。沖縄振興への全国民からの理解、共感を得るために、沖縄の特殊性や現状を分かってもらえる理論武装が必要となる」と話した。