狙うはインカレ初勝利 強みは走力と堅守 九州王者の琉大男子アイスホッケー


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指導に耳を傾ける琉球大アイスホッケー部のメンバー=6日、南風原町のエナジックスポーツワールドサザンヒルアイスアリーナ(喜瀬守昭撮影)

 “氷上の格闘技”と呼ばれるアイスホッケーで、琉球大男子が九州の頂点に立った。3月の九州学生選手権決勝で福岡大との接戦を制した。九州でのタイトルは2019年の九州学生1部を制して以来。メンバーのほとんどが大学まで競技未経験だが、徹底したスケーティングの向上と戦略の練り上げで力を付けた。日本学生選手権(インカレ)での1勝を目標に、沖縄からチャレンジする。

 転機は、2013年に2部から3部に転落したことだった。刷新を図り、全国でアイスホッケーの普及、指導に携わる中島仁実氏を特別コーチに、国体成年代表で活躍する新里大氏を監督に迎え入れた。アイスホッケーの本場、カナダでコーチングを約10年間学んだ中島氏は、当時のチームを「個々のプレーに一生懸命になりすぎて、組織でのプレーが未完成だった」と振り返る。北海道に拠点を置きながら、新里監督と密に連絡を取り合い、年間を通じたトレーニングメニューや戦略について細かく指導。数カ月に1度来県し、チームの状況を確認するなど変革に尽力した。

 チームは14年に2部へ復帰。15年には念願の1部初昇格を決め、初年度からリーグ3位の好発進を切った。新里監督は「強くしたいという選手の思いが昇格へとつながった」と語る。

 強いコンタクトを伴い、体力の消耗が著しく試合中の交代は何度も可能なアイスホッケー。激しい競技の全国の強豪には幼少期からスケートを学び、アイスホッケーに親しんできた者が多い。

 琉球大アイスホッケー部のメンバーら

 一方、初心者が大半の琉球大はスケート技術を補うべく、陸上と氷上での走り込みや下半身の筋力強化を徹底し「走って守り勝つ」チームへと進化した。特に注力するのは守備力だ。新里監督は「強豪と肩を並べるためには失点をいかに防ぎ、相手が疲れた隙を狙えるか」と狙いを説明する。相手に嫌がられるほどの走力と堅守が強みだ。

 今季はインカレでの初勝利に照準を合わせ4月からの活動を開始した。八幡達也主将は「相手に合わせることなく、自分たちのリズムで走って守れるか、細かい戦略をどこまで試合で発揮できるかが勝利への鍵」とインカレでの勝利を狙う。ポイントゲッターとして活躍し、九州学生選手権でベストシックスに選出された藤原敦貴は「守備の中で生まれたチャンスに決められるプレーヤーになり、ことしのリーグでもベストシックスに入る」と沖縄から新風を吹かせる決意だ。
 (上江洲真梨子)