「究極の目標に近づいた」やんばるの自然保護活動に取り組む中根さん「森を守る後ろ盾にしたい」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
これまでの自然保護活動について振り返る中根忍さん=国頭村安田

 【国頭】究極の目標に大きく近づくことができた―。国頭村安田で長年地域住民と一緒に、自然保護活動などに取り組んできた中根忍さん(64)は国際自然保護連合(IUCN)の「登録」勧告を受け、喜びを隠せない。「7月に決定すれば、やんばるの森を守る大きな後ろ盾ができることになる」。世界中に注目されることで「希少な動植物が住む森を守ろう」という意識が高まり、今まで以上に政府などが責任を持って自然保護に取り組むことを期待する。

 中根さんは2000年に安田に移り住んだ。やんばるエコツーリズム研究所を主宰し、自然ガイドなどを務める。やんばるの森の生態系を守るため、同区の住民らと議論を重ね、独自のルール作りにも取り組んできた。「ネコ飼養に関する規則」などを制定し、ペットによる希少動物の捕食を防いだ。「地域住民の自主的な自然保護の取り組みが報われた」と話す。

 一方で住民の力だけでは限界もあった。やんばるに自然公園法が適用され、特別保護地区内での動植物の捕獲採取が禁止になる前、中根さんは苦い経験をした。密猟をしようとしている人を見掛け注意をした際、「取るのは勝手だ。何の権限があって注意しているんだ」などと言われた。「自然保護には公的な力も必要だ。だからこそ自然遺産の登録を最大の目標にしてきた」と強調する。

 推薦地内で米軍の廃棄物が大量に見つかり「世界自然遺産としてふさわしいのか」との声も上がる。「決して無視することはできない。国内外の人に現状を知ってもらうことで早急な解決につながることを期待したい」と話した。
 (長嶺晃太朗)