喜納「悔いのない走りを」 東京パラ代表内定 体格生かしエースに成長


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T53/54車いすマラソン特別レース「チャレンジ東京パラ・イン立川」で疾走する喜納翼=3月7日、東京・陸自立川駐屯地

 女子車いすマラソンで、東京パラリンピック出場を目指していたうるま市出身の喜納翼(30)=タイヤランド沖縄=が10日、日本パラ陸上競技連盟(増田明美会長)からT54クラスの代表内定を受けた。パラ陸連から日本パラリンピック委員会に推薦され、正式に決定する。喜納は支援者に代表への一歩を踏み出せたことを報告することが「何よりうれしい」と喜びを語り「感謝の気持ちを忘れず、ベストを尽くせるよう日々トレーニングに励んでいく」とコメントした。

 喜納はバスケットボールで中学、高校と県代表に選ばれたが、大学1年の時、トレーニング中の事故で脊髄を損傷し、下半身まひで車いす生活に。当初は車いすバスケをしていたが、今も指導を受ける下地隆之コーチとの出会いをきっかけに陸上に転向した。

 強みは身長173センチという体格と、腕の長さにある。海外選手と渡り合えるパワーに加え、ハンドリム(車輪の持ち手)に長く触れられることで一回のこぎで進むことのできる距離が長い。フルマラソン初挑戦となった大分国際車いすマラソンで優勝。19年の同大会で現在の日本記録を打ち立て、瞬く間に日本のエースへと成長した。

 喜納の世界ランキングは4位。ランキング6位以内に入ったことで代表枠を獲得し、日本パラ陸連の規定で内定した。

 今後は日本パラ委員会が(1)東京パラの参加資格を満たしている(2)医学的観点から日本代表選手として推薦できる(3)メダル獲得、入賞の可能性―を審査し、正式決定する。

<コメント>感謝忘れず練習に励む

喜納 翼

 喜納翼のコメントは以下の通り。

 このたび、東京パラリンピック内定の発表をいただきました。日頃より応援いただいている皆様へようやくスタートラインへの一歩を踏み出せたことを報告できることが何よりうれしく思っております。

 昨年、大会の延期が発表され、国内外で多くの大会が中止となりました。私自身は幸いにも練習を続けられる環境にあり、マラソンへの思いが途切れることなくトレーニングに励むことができました。今回、大会の開催が当たり前ではないこと、スポーツを楽しめるのが当たり前ではないことに気づかされました。それとともに、これまでの環境に感謝する機会になったと思っています。今後はこれまで以上にサポートいただいている皆様、応援いただいている皆様、関わっている全ての方へ感謝の気持ちを忘れず、精いっぱいベストを尽くせるよう、日々トレーニングに励んで参ります。

 現在、スポーツに限らず、さまざまなイベントが開催の是非を問われる時世で、この東京オリンピック・パラリンピックも例外ではないと理解しております。私自身、けがで車いす生活になっていることから医療関係者の方々には当時から大変お世話になっており、言葉では表せないほどの感謝をしております。

 いまは車いすマラソンの一選手としてできることは限られていますが、最大限の予防をし、悔いのない走りをすることが私に与えられた使命だと自認し、走ることで恩返しをしていきたいと考えております。

 今後とも引き続き応援いただけると幸いです。