「監視強化や自由侵害を懸念」土地規制法案に市民団体が反対声明、廃案訴え


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 【東京】米軍や自衛隊の基地など、安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案が衆院本会議で審議入りしたのを受け、法案に反対する市民団体が11日、衆議院議員会館で緊急記者会見した。伊波洋一参院議員(沖縄の風)も同席し、「市民を監視するための戦時体制をほうふつとさせる法律だ」と訴えた。

 自由法曹団や平和フォーラム、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックなど、複数の市民団体が反対の声明を発表した。

 自由法曹団の金竜介弁護士は、国に与えられる調査権限の範囲が曖昧な点から、「市民運動をする人は国益を害するということになりかねない」と、市民運動への弾圧に利用される可能性を指摘。「何としても廃案にしなくてはいけない」と訴えた。

 海渡雄一弁護士は「居住移転の自由、表現の自由の侵害になる」とし、憲法9条が規定する平和主義にも反すると説明。法案で、土地規制に伴って土地所有者以外にも情報提供が義務付けられている点に触れ、「密告社会になる可能性がある」と警戒視した。

 オンラインで参加した「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんは「基地以外に空港や発電所などさまざまな公共施設が対象になれば、全島民が監視対象になる」と懸念した。

 法案は、政府が安全保障上「重要」とみなした施設の周辺地域や、国境離島の土地所有者らの個人情報の収集が認められ、重要施設の「機能を阻害する行為」が認められた場合には刑罰を伴う規制が課されるとしている。