「東洋のガラパゴス」西表島の自然を守る取り組み 来島制限、ガイド免許も<沖縄・奄美 世界遺産に>中


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ピナイサーラの滝の上から見下ろす緑豊かなマングローブと船浦湾=西表島上原

 手つかずの自然が残り「東洋のガラパゴス」とも称される竹富町西表島。新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年の観光客数は落ち込んだものの、それまでは年間30~35万人ほどが訪れた人気観光地だ。ただ町は、3年前に国際自然保護連合(IUCN)が世界遺産一覧表への記載を、延期が適当と勧告した理由を「多くの観光客が訪れる中、環境整備がどこまでできているかを指摘された」と捉えていた。それだけに今回の勧告を「取り組みが一定の評価を受けたものと認識している」(西大舛高旬町長)と受け止める。

 現在、町などを中心に過剰な観光客数の抑制を目指す取り組みが進む。

 2020年1月に世界自然遺産候補地地域連絡会議の西表島部会がとりまとめた基本計画では、ピーク時の1日当たりの来島者数を1230人と設定した。計画は20年、21年を対象にしたものだが、町の世界遺産推進室によると、基本的には上限数は今後も変わらないという。

 町は関係省庁と連携し、エコツーリズム推進法に基づく「西表島エコツーリズム推進全体構想」も進める予定だ。この構想で、島全体の来島者数の制限に加え、島内の地域ごとの立ち入り人数制限も目指す。

 観光ガイドによる環境負荷軽減も進める。町は20年4月、「観光案内人条例」を施行した。町が定める基準を満たしたガイドにのみ自然観光事業を認める免許制度で、ガイドの質を高めていく。免許を受けた事業者は約100カ所に上る。

 ただ、こうした取り組みが道半ばであるとして、島内からは実効性を不安視する声も上がる。

 町の通事太一郎世界遺産推進室長は「現在考えている来島者制限の数字は、あくまで基準となる上限だ。今後も調査を進め、必要に応じて対応していきたい」と話している。
 (西銘研志郎)