<菅首相一問一答>「酒提供やめてと助言」 河野・細田発言、辺野古、宮古収賄…


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琉球新報などのインタビューに答える菅義偉首相=5月21日、首相官邸

 菅義偉首相と沖縄2紙のインタビューのやり取りは次の通り。

 Q:新型コロナウイルス対策で沖縄も緊急事態宣言適用が決まった。県のコロナ対策の評価は。

 「沖縄県では新規感染者が200人と急激に増加してきている。それと医療体制が逼迫(ひっぱく)してきている。総合的に判断して感染拡大を早期に食い止めるために専門家の意見をうかがい、緊急事態宣言となった。一方、全国で変異株に置き換わっている。そういう中で、まん延防止(等重点)措置の対象地域において、20時までの時間短縮に加えて、お酒の提供の停止をやってる。沖縄でも伸び始めてきた時に、それよりも最初からぜひやってほしいと、国でお願いしたが、沖縄の事情でそれができていなかった。そこは事実だ思う」

 「今回、沖縄県も酒類の提供を停止する、そういうことも約束というか方針を出しくれたので、政府としてもしっかり対応すべきということで今回につながったと。沖縄県がどうということではなくて、政府の見方とすれば、(酒類の提供を)やめてほしいという見方があったことは事実だ。助言もしていた」

 Q:細田博之元官房長官が自民党の沖縄振興調査会役員会で、県の対策について「国に頼るなんて沖縄県民らしくない」と発言した。

 「正直に言って、細田さんの詳細な発言については承知していない。ただ基本的には国が対処方針という大枠を決めて、後は地域がそれぞれの地域の事情を生かす中で対応してきている。沖縄では、例えば独自政策として地方交付金を活用して、島間の空港でのPCR検査をしっかりやっている。やはり沖縄の観光という特性を生かす中でやっているんだろうと思う。県とも連携しながら取り組んでいくのが国の基本姿勢だ」

 Q:沖縄振興計画について今後どうあるべきか。

 「今まで振興策によって県内総生産(の伸び率)も全国平均より高くなってきていることも事実であり、着実な成果を上げている。振興計画についてはまず内閣府において県や市町村の協力も得ながらこれまでの振興策の検証を行って、その結果を取りまとめている。現時点において、まだ具体的にお答えできるような状況ではないが、検証結果を踏まえた中で、ここは対応していきたいと思っている。いずれにしろ沖縄の特殊性を生かしながらということは、大事だ」

 Q:河野太郎沖縄担当相が「子どもの貧困」について自助努力を求めるような発言があった。

 「発言については本人の記者会見で説明があったと思う。ただ沖縄の子どもの貧困については全国に比べて深刻な状況にある。こうしたことは政府として認識している。そのため沖縄子どもの貧困緊急対策事業を進めている。今後とも貧困の連鎖を断ち切ることが大事だと思っている。県、市町村と連携を取りながら対策をしっかり進める」

 Q:辺野古新基地建設に関連して普天間飛行場の返還は進んでいない。一方で、自衛隊の南西シフトが進んでいる。先日、陸自駐屯地の配備を巡り宮古島市の前市長が収賄容疑で逮捕される事案もあった。

 「収賄はあってはならないことだ。特に、この安全保障が厳しくなる中で、政府として国を守り抜くための必要な政策をとるのは役割だ。その中で沖縄の負担を軽減していくことは大事なことだと思っている。私自身、官房長官当時、沖縄の基地負担軽減担当を務めできることは全てやる。そして目に見える形でやるというのは、言葉だけでは信用してもらえない。そういう状況だと思って目に見える形でやることが大事だ。普天間飛行場については、辺野古移設というのが唯一の解決策だと思っている」

 「ただ、地元の皆さんへの説明、また環境、こうしたことに、しっかりと留意しながら進めていく必要がある。危険性を除去するためというのが、やはり必要なことだという考え方に変わりはない。ただ、丁寧に説明をして、特に環境を皆さん大事にしているので、大事にしながら進めたい」

 Q:宮古島市の前市長について。

 「私は保守系の市長の会の会長をやっていたのでよく知っていた。県出身の人ですよね。そうしたことは全く考えられるような人じゃなかった。非常に残念だ」

 Q:東京五輪の開催が危ぶまれている。

 「五輪について、さまざまな声があるということは承知している。そうした中で、まずは感染拡大、ここを防止することが私の役割だと思う。そこに全力を尽くす。開催にあたって、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じる。安心して参加できるようにして、国民の皆さんの命と健康をしっかり守っていきたい」

 「感染拡大防止には最大限配慮して一般国民の皆さんと、海外から来られる人が一切接触することはないような、そうした対策もしっかり講じる中で準備を進めていきたい。総選挙ですけれども、よく聞かれるが、まず感染拡大が最優先なんだと。しかし、任期が来ることも事実で、その任期までの間で、タイミングを見極めながら考えている」