負けたら今季が終わる大事な一戦でキングスを引っ張ったのは、やはりこの男だった。「自分がいくしかない」と強い気持ちで大一番に臨んだ在籍9年目のエースガード、岸本隆一だ。長距離3点弾などでチームトップの20得点を挙げ、持ち味の高い得点能力を発揮したが、最も貢献したのは守りの部分だった。
日本代表ガードで、相手の攻撃の起点となる富樫勇樹に序盤から密着マークを仕掛けてリズムを崩し、千葉は持ち味である速攻からの得点がこの試合わずか7点。守備の強度は疲労が蓄積する最終盤でも変わらず、富樫に「負けたらシーズンが終わるという中で、相手の方が気持ちが強かった」と言わしめるほどの迫力と集中力だった。
「『とにかくハードに守備をし続ける』と何度も自分に言い聞かせていた」と試合中の胸の内を振り返る。脳裏にあったのは、「鮮明に覚えている」という2018―19シーズンのCS準決勝第3戦だ。A東京に激しい守備で対抗したが、終盤に難しいシュートを連続で決められて敗退した。「どれだけ守ってもやられる時はやられる。継続が勝利のポイント」と、悔しい経験から得た教訓をプレーで体現して見せた。
「チームとして今季一番の内容。上にいくためのきっかけになるゲームだった」と自他の成長を実感した岸本。強心臓でけん引する“ミスターキングス”が、次戦も好守で安定した活躍を見せてくれそうだ。
▽準決勝第2戦(沖縄アリーナ、4070人)
キングス(西地区1位)1勝1敗
84―78(28―18,12―19,19―26,25―15)
千 葉(東地区2位)1勝1敗