疲労蓄積で狂った判断力、シュート精度…キングス力尽きる CS準決勝第3戦


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琉球―千葉 第1Q、果敢にゴールを狙うキングスの牧隼利(左)=24日、沖縄市の沖縄アリーナ(又吉康秀撮影)

 1点を追って迎えた第3Q。CSの我慢どころで着実に加点し、チームを支えてきたキングス最大の得点源、ドウェイン・エバンスに異変が起きる。1対1で相手をかわしたフリーのゴール下シュートがことごとくリングに嫌われ、このクオーターはフリースローの4得点のみ。エースの急ブレーキがチーム全体の攻撃に悪循環を生み出した。

 守備やリバウンドで我慢を続けるが、ボールの流動性が落ちて1対1が増え、シュートのリズムが悪く後半の成功率は約2割。コロナ禍での日程変更もあり、今月に入り24日間で11試合の過密スケジュールをこなしたキングス。田代直希主将も「体力面の消耗はかなりあった」と振り返る。疲労の蓄積が土壇場での判断力やシュートタッチを狂わせ、力尽きた。

 CSが中止となった昨季を除き、3季連続で準決勝敗退となったが、試合終了のブザーと同時に会場の約4千人のファンからは惜しみない拍手が送られた。「沖縄をもっと元気に」をテーマに掲げ、この試合も最後までハードワークを続けた選手たち。ジャック・クーリーは下を向くのをこらえながら「一人一人が最後まで戦ったことを誇りに思う。ベストなファンの前でプレーでき、感謝します」と深々と頭を下げた。

 悲願の決勝進出、そして頂点への挑戦は続く。田代は「もしコロナが収束したらアリーナには今の倍の8千人が入る。さらに情熱を持ち、多くの人の胸を打つプレーが求められる」と来季も躍動することを誓う。アリーナが満員に埋まり、再び盛大な歓声と指笛が鳴り響く、その瞬間を心待ちにして。
 (長嶺真輝)


 

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングス(西1位)は24日、沖縄アリーナで千葉ジェッツ(東2位)と2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)準決勝第3戦を行い、71―89で敗れた。1勝2敗でCS敗退が決まり、今シーズンの日程が終了した。前半はキム・ティリや牧隼利の3点弾、並里成からジャック・クーリーへのホットラインが機能し得点を重ねた。一進一退の攻防を繰り広げ、1点差で追い掛ける展開となった。後半はシュートの精度が落ち、徐々にペースを握られた。最後まで千葉の攻撃を止められず、CSファイナル進出はならなかった。29日からの横浜アリーナでのファイナルは宇都宮―千葉のカードで行われる。


▽準決勝第3戦(沖縄アリーナ、4075人)

千  葉(東地区2位)2勝1敗
 89―71(21―18,23―25,19―12,26―16)
キングス(西地区1位)1勝2敗

 【評】キングスは前半、キム・ティリの3点弾やジャック・クーリーのゴール下シュートなどで着実に加点し、1点ビハインドで折り返した。しかし第3Qでシュート成功率が2割以下に急落。攻撃のリズムが崩れたことが守備の連係ミスにもつながり、終盤で大差を付けられた。

◆結果は非常に悔しい

 藤田弘輝HC(キングス)の話 後半はガス欠の印象で、結果は非常に悔しかった。今シーズンを戦い抜いてくれた選手たちを誇りに思う。スタッフを含め、チームの一員として多くのことを成し遂げられた。ファンの皆さんの後押しで戦うことができた。本当に感謝している。

◆執着心がファイナルに

 大野篤史HC(千葉)の話 第2戦は琉球の方が勝ちたい意欲があり、選手には「そこで上回らないと勝てない」と伝えた。最終戦はより多くフリースローをもらい、リバウンドでも相手の本数を抑えられた。ボールへの執着心がファイナルにつながった。