沖縄防衛局「人に影響ない」 普天間の泡消火剤流出 保育園など土壌調査


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米軍普天間飛行場から流出し、住宅地に迫る泡消火剤=11日午前、宜野湾市の宇地泊川(金良孝矢撮影)

 【宜野湾】有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が米軍普天間飛行場から流出した昨年4月の事故を受け、沖縄防衛局が実施した飛行場に隣接する宜野湾市内の保育施設や公園の土壌調査で、PFOSとPFOAの合計値が1グラム当たり最小0.2ナノグラムから最大5.8ナノグラム検出されていたことが、25日までに分かった。報告書は、毎日摂取しても健康に害を及ばさない量より低いとして、人への影響はほぼないとした。

 泡消火剤事故などを調べている照屋正史さん=沖縄市=が、防衛局への情報公開請求で入手した資料で明らかになった。環境建設コンサルタント「いであ」が調査し、昨年8月に報告書をまとめた。流出地点に近い保育施設の4地点、上大謝名さくら公園4地点、佐真下公園1地点の土壌を、事故発生から17日後に採取して調べた。

 保育施設は1グラム当たり0.4~5.8ナノグラムで、砂場は同0.2ナノグラムだった。さくら公園は同0.2~1.8ナノグラム、佐真下公園は0.7ナノグラムとなった。土壌は国の指針値などはないが、環境省が全国で実施した底質調査で検出されたPFOSやPFOAの最大値より、地点によっては高い値を示した。

 報告書は「今回の流出を含めた飛行場に由来する影響を受けた可能性がある」と記した。一方、土壌を毎日摂取しても健康に害を及ばさない量を1日当たり300~千ナノグラムと想定した場合、調査結果の1日摂取量は同0.04~6ナノグラムが算定され、「人への暴露の影響はほぼないと考えられる」と評価した。

 報告書を読んだ京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は、防衛局調査で飛行場内の土壌から同0.9~30ナノグラム検出されたとして、「泡が(周辺に)飛散しただけで、基地内と同程度の濃度になるほどの含有量だった」と分析。基地内外の土壌や地下水汚染を懸念し、「土壌を直接摂取した場合の推定から問題ないという考えは、泡消火剤の問題を過小評価する」と指摘し、さらに広範囲の長期的な調査の必要性を訴えた。
 (金良孝矢)