OIST、養豚場排水浄化で新装置 有害な硝酸除去に成功 悪臭も緩和


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 【恩納】恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームはこのほど、養豚場の排水を浄化する新たな装置を開発した。人体や環境に深刻な影響を及ぼす硝酸を除去することに成功した。悪臭や環境汚染の軽減が期待される。

 硝酸は人が摂取すると血液の酸素運搬能力に影響し、メトヘモグロビン血症などを引き起こす恐れがある。従来の排水処理設備はアンモニアを硝酸に変えることができるが、有害な硝酸の除去はできなかった。

 開発した装置は2槽式。1槽目には養豚場の排水を入れる。2槽目には、養豚場の排水を従来の手法で排水処理を施した「曝気(ばっき)処理水」を入れる。1槽目で細菌群が排水中の有機物と反応し、臭気や病原菌を除去する。その工程で放出された電子を2槽目の細菌群が受け取ることで曝気処理水の中にある硝酸を除去する。

 県環境科学センターと、動物用医薬品卸会社の沖動薬(豊見城市)の協力を得て、県畜産研究センター(今帰仁村)で実証実験を行い、効率的な硝酸除去や悪臭の緩和、病原菌の減少を確認した。

 学術誌「バイオリソース テクノロジー」に論文が掲載され、OISTが4月下旬に発表した。筆頭著者のアンナ・プロホロヴァ博士は「装置は効率的、低コストで組み立ても容易だ。数年のうちに国内、東南アジアなど同様の問題を抱える地域で活用されることを期待する」と話している。