伊平屋村の補助金返還「村長は8680万円賠償を」住民が提訴


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伊平屋村役場

 【伊平屋】伊平屋村田名漁港の整備事業で、工期遅れによって村が補助金8680万円を県や国に返還したことを巡り、村民6人は27日、伊礼幸雄村長が必要な指示を出すなどの義務を怠り、村に損害を与えたとして、伊礼村長に8680万円の損害賠償を請求するよう、村側に求める住民訴訟を那覇地裁に起こした。

 訴状によると、田名漁港の工事は2018年度、総事業費1億6300万円の予算で執行された。だが、事業の着手が遅れたほか、担当職員が県への文書に村長印を勝手に押し、公文書を偽造するなど問題が発覚。村は20年1月に8680万円を返還した。

 訴状では、伊礼村長が工事状況などを担当課に確認せず、必要な指示も出さなかったと指摘。村職員が村長印を勝手に使えるような状況を長年放置していたことにも触れ、伊礼村長に過失と職務義務違反があったとしている。

 21年2月、伊礼村長に損害賠償を請求するよう村に求め、村民らが住民監査請求した。村監査委員は4月、請求を認め、伊礼村長に8680万円を請求するよう村に勧告した。村は5月26日に勧告に応じない考えを示した。

 原告の東一幸さん(67)は「伊礼村長は当初、公平・公正の村政を目指してたはずだが、不祥事が相次いだ。裁判では首長としての責任をはっきりさせたい」と語った。