体罰・暴言など被害生徒「学校が対応」は7% 12%は誰にも相談できず<高校部活調査>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 コザ高校で運動部主将を務める男子生徒が1月に自殺したことを受け、県教育委員会は20日、県立高校の生徒や学校関係者などを対象に実施した「部活動実態調査」の結果を公表した。部員への調査で、体罰.ハラスメントを「受けた」と答えたのは2.0%(133人)。この133人に「どのような対応がとられたか」と質問したところ、学校関係者が関わった対応は、全体の7.6%(10人)だった。同じく体罰.ハラスメントを「受けた」の回答のうち、66.2%(88人)は「解決していない」と回答したが、管理職と指導者は全員が「解決した」「解決に向かっている」と答え、部員と指導者らの認識に隔たりがあることを浮き彫りした。調査結果の一部を伝える。

 

学校関係者に相談2%

 

 「所属する部活動で、体罰.ハラスメントを受けたことがある」と回答した133人に対して、その相談相手を質問したところ、約半数の49.6%(66人)が「同じ部の部員」と答えた。次に「保護者(家族)」が18.8%(25人)、「生徒(友人含む)」が15.8%(21人)、「誰にも相談できていない」は12.0%(16人)と続いた。「教職員」は1.5%(2人)、「副校長.教頭」は0.8%(1人)、「校長」は0%だった。

 教育活動の一環である部活動で体罰.ハラスメント被害が発生しているが、教職員側に寄せられる相談は極端に少ない。結果的に学校が保護責任を果たせていない実態が浮かび上がる。

 「他の部活動指導者による体罰.ハラスメントと思える行為」について、「見たことがある」は2.0%(131人)だった。このうち「その行為を誰かに相談したか」を尋ねると、62.6%(82人)が「していない」と答えた。その理由では「関わりたくなかった」が34.1%(28人)、「このような指導が日頃からあった」が30.5%(25人)、「その指導者が怖くて誰にも相談できなかった」が14.6%(12人)だった。

 自身が受けた体罰.ハラスメントの57.2%(115人)は「暴言(人格を否定した発言等含む)」が最多だった。「無視」が22.9%(46人)、「体罰」が13.9%(28人)、「セクハラ」が6.0%(12人)だった。

 部員の回答率は36.2%(6539人)だった。


保護者122人「子が被害」/81%「解決されていない」
 

 保護者への調査で、「(子どもが)所属する部活動で、体罰.ハラスメントを受けたことがあるか」の質問に対して、「ある」は1.9%(122人)だった。「ない」は52.9%(3460人)、「分からない」は10.4%(677人)だった。

 「ある」の回答のうち、「解決されていない」は81.1%(99人)だった。相談相手を聞くと、「誰にも相談できていない」が33.6%(41人)だった。「どのような対応がとられたか」の問いには「対応できていない」が63.1%(77人)を占めた。

 部活動への保護者の悩み(複数回答)については、「特段の悩みはない」が40.2%(2444人)で最多だった。「学業との両立」が15.1%(920人)、「部活動の時間.日数が長い(休みがない、または少ない)」が12.6%(763人)と続いた。

 保護者への調査の回答率は、23.6%(4259人)だった。


<調査方法>

 県教育委員会が4月1~18日に調査を実施した。対象は県立学校(中学除く)80校で、管理職や部活動指導者、部員とその保護者に実施し、1万2737人が回答した。回答率は31.7%。それぞれの立場の質問項目を設け、ウェブで回答を得た。