「自宅で死亡の恐れも」 県医師会が沖縄コロナに強い危機感 病床確保追いつかず


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医療崩壊を回避するため、県民に3密回避を強く訴える県医師会の安里哲好会長(右)と宮里達也副会長=28日、県庁

 新型コロナウイルスの感染者が連日200~300人台となり、感染者の急増に病床確保が追いつかない状況となっている。過去最多を更新した28日、沖縄県医師会の安里哲好会長は記者会見し、このままのペースで感染者が増えれば、重症化リスクの高い高齢者や持病がある人、治療が必要な人が入院できずに自宅で亡くなる恐れがあると強い危機感を示した。安里会長は、感染が広がる若者に午後8時以降の外出を控えることなどを求め「今の状況は、県民にしか変えられない」と訴えた。 

 県は、県内の新型コロナウイルス感染者を受け入れる病床を最大585床まで増やし、日々、重症化リスクが高い高齢者や持病がある人の入院調整を行っている。県医師会などによると、今のペースで感染者が増え、若者から高齢者に感染が広がった場合、通常は入院が必要な重症化リスクが高い人などが自宅療養になることが想定されるという。

 県医師会では、医療者が自宅に出向いて治療を施す体制についても話し合っているという。玉城研太朗理事は「自宅ではどのタイミングで重症化するか分からない。重症化しない支援体制をつくらなければならないが、仮に重症化リスクの高い自宅療養者が50人、100人になったら支援する医者が間に合わない。気づいた時に倒れていて、自宅で亡くなるケースは、自宅療養が増えるほどに多くなってしまう」と危機感を募らせる。

 感染者が急増した大阪府では医療の逼迫(ひっぱく)で、血中の「酸素飽和度」が低くなり、呼吸状態が悪化しないと入院できない状況になっているという。

 玉城理事は「酸素飽和度が低くなればものすごく苦しい。一般の病気だったら即入院となる状況でも、入院できなくなるだろう」と懸念する。

 28日の新規感染者は、20代が71人に上り、若い世代の感染が後を絶たない。感染拡大の要因は若者の飲み会が起点になっているという。感染力の強い変異株の「N501Y」は県内で急速に置き換わっており、感染した場合、若い世代でも重症化するケースが報告されている。

 安里会長は28日、医療のひっ迫状況に理解を求めた上で、若者に午後8時以降の外出を控える、高齢者はワクチン接種を受ける、県民全体でマスクや手洗いを徹底して不要不急の外出を控えることを求めた。若者の意識を変えるため、職場の上司や先輩から呼び掛けてほしいと訴えた。