低所得層14%「収入半減」 コロナ直撃、保護者抑うつ傾向<沖縄県未就学児調査>


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 県は1日、1歳児と5歳児の保護者を対象に実施した2020年度沖縄子ども調査の未就学児の結果を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大により、最も低所得の層では世帯収入が「5割以上減った」と答えた人が14.5%を占め、低所得層ほどコロナの影響を大きく受けていることが明らかになった。世帯収入が減り、その減少幅が大きい世帯ほど、保護者の抑うつ傾向が高いことも分かった。

 調査は小学校入学前の子どもと保護者の生活実態や支援ニーズを把握することが目的で17年度も実施している。

 調査では世帯の困窮程度を三つの区分に分類した。世帯の手取り収入を世帯人数の平方根で割った額を算出した「等価可処分所得」で、127万円未満を低所得層I、127万~190.5万円未満を低所得層II、190.5万円以上を一般層とした。

 1歳と5歳児合計の低所得層Iは22.0%で、前回調査(2017年)より1.3ポイント減少した。

 新型コロナの流行が始まった2020年2月以降、1歳児の世帯で何らかの世帯収入の減少があったのは、一般層が24%に対し、低所得層IIでは41.5%、低所得層Iでは57.5%だった。5割以上の減収では、一般層は2.6%に対して、低所得層IIが5.7%、低所得層Iでは14.5%だった。5歳児世帯でも同様に低所得層ほど深刻だった。また、ふたり親より、ひとり親の方が影響が大きかった。

 新型コロナは保護者の抑うつ傾向にも影響を与えている。世帯収入が3割以上減った1歳児の保護者は10.2%、5歳児では8%で、重度抑うつ.不安障害相当だった。所得に関係なく、どの層でも過去1年間に子どもを病院に受診させなかった理由では「新型コロナの感染を心配した」が1歳児で7割、5歳児では6割を超えており、子どもたちの健康面にも影を落としている。

 調査は2020年9~10月に実施。有効回答数は1歳が3318件、5歳が3327件だった。

 玉城デニー知事は「切実な声を真摯(しんし)に受け止め、すべての子どもが夢や希望をもって成長でき、誰ひとり取り残されることのない社会の実現を目指し、対策を推進する」と語った。