県内出生数、沖縄戦直後以来の1万4000人割れか NIAC21年予測


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 南西地域産業活性化センター(NIAC、大嶺満会長)は3日、新型コロナウイルスの感染拡大が県内の出生数に及ぼす影響の推計を発表した。2021年の県内出生数の予測について、20年の1万4910人(推計値)から7・5%減の1万3791人になると見通した。年間出生数が1万4千人を下回るのは、沖縄戦直後の1946年の1万173人以来となるという。調査した金城毅上席研究員は「早ければ22年ごろには、沖縄も自然減に転じる可能性も出てきた」と人口構造への影響を指摘した。

 沖縄は国内で唯一、出生数が死亡数を上回る「自然増」の都道府県だが、近年では少子化が進んでいる。NIACの過去の推計では毎年徐々に出生数が減少し、25年に1万3821人と見通していたが、コロナ禍で4年前倒しとなった。

 新型コロナによる母体や胎児への影響の懸念や、移動を伴う里帰り出産や出産時の立ち会いが難しくなっていることから、妊娠を控えるケースが増えていると推測される。

 母子手帳の交付などに必要となる妊娠届出の数は、20年4~6月に前年同期比で減少に転じ、以降は前年を下回っている。妊娠届出は大部分が妊娠11週までに出されることから、新型コロナの感染が国内でも拡大し始めた20年2~3月ごろから妊娠を控えるケースが増えたと考えられる。出生数も20年10~12月期以降は前年を下回っている。

 婚姻件数も、20年は前年比9・2%減と減少した。コロナ禍で飲食業や観光業を中心に打撃を受け、雇用環境が悪化したことで将来へ不安を感じて結婚に踏み切れないケースなどが想定される。

 コロナ禍が収束した直後には、控えられていた結婚や妊娠が増加することも見込まれる。一方で、金城氏は、学校でのオンライン授業や職場でのテレワーク普及、懇親会の自粛などで、男女の出会いの機会が減少することも指摘し、「恋愛関係となる機会が制限されている。コロナ禍の収束後も、少子化が加速する恐れがある。少子化対策の支援制度を拡充していく必要がある」と話した。