収入激減、ピンチの公立文化施設 コロナ理由の返金は最大1800万円 


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(イメージ写真)

 県公立文化施設協議会が7日、市民会館など公立文化施設を対象にした2020年度のコロナ影響調査結果を公表した。新型コロナウイルス感染症の影響による中止に伴う施設利用料などの平均返金額は約260万円にのぼり、利用料金収入は平均で前年比約20%に落ち込んだ。自治体からの委託料と使用料などの収入で施設を管理する指定管理館で、従来通りの管理継続に不安を抱える現状が明らかになった。

 調査は4月3日から23日まで、同協議会に所属する施設18館を対象に実施し、自治体の直営館6館、指定管理館7館の計13館が回答した。

 調査によると、コロナ起因による年間返金額の総額は最も多い館で約1800万円で、利用料金収入は最も落ち込んだ館で前年比7.6%だった。また、利用者数の平均は前年比約16%、中止した公演数の平均は8.1件だった。

 収入が減った一方、指定管理館の収支については、設置自治体から減収分の補てんを受け、バランスが取られた。

 「コロナ禍だからこそ生まれた取り組み」の項目では「コロナ対策検証コンサート」や、公演のオンライン配信などが上がった。

 また、安定した施設の管理運営を継続するための、長期的な指定管理料の増額や、舞台事業者への支援などの要望も集められた。

 県公立文化施設協議会の山口将紀氏は「現状は収支をプラスマイナスゼロにすることが、指定管理者の最低限の目標であり、仮に目標を達成したとしても、利益を確保できない。そのため、自治体からの支援が非常にありがたい。一方で私たちも、それだけに頼らず公的な補助金を自分たちで探し、資金獲得するスキルや運営姿勢が求められる。指定管理館にとっては、雇用を維持できるかも重要だが、今の状況が長引くとどうなるか分からない」と話した。