改正国民投票法 「戦争できる国への布石」沖縄県選出の2氏反対 参院本会議


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 【東京】憲法改正手続きに関する改正国民投票法は11日、参院本会議で自民、立憲民主などの賛成多数で可決、成立した。県選出の伊波洋一、高良鉄美両参院議員(沖縄の風)はいずれも「反対」の票を投じた。衆院では「オール沖縄」内でも賛否が分かれたが、参院の2氏は沖縄戦の経験を前提に「戦争できる国づくりへの布石だ」と訴えた。

 伊波氏は「9条を狙い撃ちする憲法改正で戦争できる国づくりを目指す布石だ」と指摘。在日米軍・自衛隊基地強化が進む現状を踏まえ、「確実に戦争準備は進んでいる。沖縄は再び戦場になり得る」と危機感を示した。立民が政党スポットCMなどの規制に関する付則を加えることを条件に賛成に回った点には「すぐには改憲できない仕組みを埋め込んだつもりだろうが、歯止めになるかどうかは疑問だ」とした。

 高良氏は、2007年8月から衆参両院に憲法改正の審議を行う憲法審査会が常設された点に触れ、「憲法違反だ。本来、憲法によって縛られる国家権力が逆に憲法を監視する形になっている」と問題視。「政府が目指す憲法改正は『法の支配』という憲法理念を覆し、『人の支配』を目指すものだ」と批判した。

 県関係衆院7議員のうち自民、立民、無所属の5人は賛成した。国場幸之助氏(自民)は「国民全体の総意が求められる手続法改正として歓迎したい」、下地幹郎氏(無所属)は「重要なことは国民が憲法への理解を深め、投票に対する参加意識を高めることだ」、屋良朝博氏(立民)は「平和憲法の理念をどう具現化するか国民的な議論を広げたい」などと述べた。

 反対した赤嶺政賢氏(共産)は「菅首相は破綻が明らかな『安倍改憲』に固執し、国民世論に反する」、照屋寛徳氏(社民)は「いかなる理由があろうと改憲策動には反対」とした。