【記者解説】待機児童ゼロへ 最大の課題は保育士の処遇改善


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 沖縄県内の待機児童が減少したのは、2015年に施行された子ども・子育て支援新制度に伴い、認可外施設の認可化促進や認定こども園の増加など、施設整備が進んだ要因が大きい。残る大きな課題は保育士の確保だ。厚労省の調査では、保育士の離職理由は「職場の人間関係」の割合が最も高く、施設側の職場環境改善も求められている。

 県内自治体では、採用された保育士に給付金や家賃補助を支給するが、求人情報や合同説明会でもなかなか人が集まらない現状もある。保育士の就労支援に取り組む県保育士・保育所総合支援センターによると、数年前と比較して収入は数万円増えたが、所得が業務内容に見合っているかも課題だ。沖縄労働局によると、今年3月時点の保育士の有効求人倍率は3・41倍と依然として高いままだ。

 保育施設数の増加で待機児童問題の解消が見え始めた今、県内では職場環境の改善で保育士の離職を抑える施設も増えた。運営の健全化が良好な保育につながるという視点だ。県外では施設数の増加で園児が集まらず、保育士も確保できず閉園するという問題も出ている。県内でも同様の事態に備え、保護者だけでなく保育士にも選ばれる保育所経営が求められている。

 (嘉陽拓也)