オリオンビール3期連続の減収減益 コロナで酒類、ホテル事業ともに低迷


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 オリオンビール(豊見城市)は29日、2021年3月期決算を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、主力の酒類・清涼飲料事業、リゾートホテル事業ともに落ち込んだ。売上高は前期比24・1%減の189億5600万円、経常利益は同72・2%減の6億6400万円、純利益は同37・1%減の11億1900万円と3年連続の減収減益となった。

 営業利益は同89・9%減の2億300万円だった。手元資金の確保と、設備投資余力を保つ狙いから有価証券を売却し、特別利益約9億5千万円を得た。

 酒類・清涼飲料の売上高は同17・2%減の180億6700万円だった。量販店用は家飲み需要もあって前期と同程度を保った。一方で、業務店用は前期比47%減と半減した。緊急事態宣言などで飲食店の休業や時短営業が相次ぎ、観光客の利用も大きく減った。

 リゾートホテル事業は同71・7%減の8億9千万円と大きく落ち込んだ。

 ビール類の売上数量は、同15・3%減の5万1100キロリットルだった。7割以上を占める県内の売上数量は同18・3%減の3万8900キロリットルで、特に飲食店向けに販売されるたる・瓶商品は、観光客需要の大きい生ビールが落ち込んだことから同47・8%減だった。

 吹田龍平太副社長は「観光客の大半はオリオンを飲むが、それが(コロナ禍で)ほとんどなくなった。他のメーカーと比べても影響が大きい」と話した。

 海外売り上げは、同2・9%増の3500キロリットル。台湾で新規代理店での販売を開始したことや、オーストラリアで最大手小売りチェーンとの直接取引を開始したことから売り上げを伸ばした。缶酎ハイ「WATTA(ワッタ)」は限定商品などが好調で、同23・0%増だった。

 29日の株主総会で退任した早瀬京鋳前社長は「数字的には厳しい決算だが、eコマースや海外事業など、次の成長の種が花開き始めた。中期的には希望を持てる決算だった」と話した。