浦添土地開発公社、文書なく口頭で2200万円の随意契約 軍港隣接のリゾートプラン策定


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
浦添市役所(資料写真)

 【浦添】浦添市土地開発公社が西海岸開発に関して県外のシンクタンクと結んだ随意契約を巡って、契約の根拠となる文書が存在しないことが18日、分かった。公社は一般競争入札ではなく、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号に基づき随意契約した。随契に至った業者とのやりとりが書面ではなく口頭で行われたため、随契の妥当性を第三者が検証できない事態に陥っている。契約金は2200万円。

 市当局は契約そのものに問題はないとの認識を示すが、不適切な事務手続きだったとして、同日の市議会で謝罪した。又吉健太郎市議の質問に答えた。土地開発公社を巡っては、多額の旅費を使った公社幹部による海外視察が問題となるなど、公金の使われ方が問われる事態となっている。今回の事態を受け、松本哲治市長は契約関係を所管する総務部に調査を指示した。

 本紙が入手した資料によると、公社は那覇湾港施設(那覇軍港)と民港の整備が予定される浦添ふ頭地区内の「浦添コースタルリゾート地区」について2020年4月、JTB総合研究所(東京都)を相手に「浦添コースタルリゾート・コンセプトプラン策定業務」に関する随意契約を締結した。同社は20年9月末、公社が目指す世界水準の観光地形成に向けた報告書を作成した。

 公社の常務理事を兼務する宮城剛西部開発局長は随意契約の経緯について、「複数の事業者をヒアリングし、最終的に1社しか(業務遂行)できないということで随意契約に至った」と説明した。公社理事長を兼務する大城千栄美副市長は「書面がなかった点について事務手続きとして大いに反省すべきところ」と陳謝した。

 一方、新垣剛総務部長は書面がないことを念頭に「(随意契約を)判断するのは難しいと言わざるを得ない」と指摘。その上で「契約に至った経緯についてヒアリングの実施や監査委員事務局に依頼するなり対応していきたい」と述べた。