「下地島宇宙港」16社参画 PDエアロ社 共同事業体を設立 25年商業旅行目指す


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下地島宇宙港事業推進コンソーシアムの設立を発表するPDエアロスペースの緒川修治社長(右から3人目)ら=22日、浦添市勢理客のシンバホールディングス本社

 宮古島市の下地島空港を「宇宙港」として利活用する計画を立てているPDエアロスペース(愛知県、緒川修治社長)は22日、浦添市内で会見を開き、宇宙港事業をベースに幅広い産業の振興を目指す「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム(共同事業体)」の設立と、県内外16社の参画を発表した。今後、ジャンルや企業規模を問わず、100社程度を目標に参加企業を募る。

 PD社は2020年9月、下地島空港と周辺用地の利活用事業として、宇宙港事業を展開することで県と基本合意した。25年に商業宇宙旅行を開始し、下地島空港を宇宙港として活用する計画を立てている。

 同社は一つのエンジンでジェット燃焼とロケット燃焼を切り替える技術の特許を取得していて、この技術を活用し、繰り返し使える有翼型宇宙機開発を進めている。現在、下地島空港で無人実験機「X06」を用い、試験を進めている。7月にもX06の飛行試験を実施する予定という。

 PD社は、豊田通商とよしもと統合ファンド、個人投資家4人を引受先とする第三者割当増資によって、総額約3億9千万円の資金を調達したことも発表した。累計調達額は11億3千万円となる。調達した資金は無人実験機の開発費と格納庫建設費に充てる。

 PD社は全体で必要な開発資金として24億円程度を見込んでおり、残り約13億円を調達するために今後も出資先を募る。

 産業の裾野を広げる事業推進コンソーシアムは、「宇宙」をキーワードに観光や飲食、小売りなどの幅広いジャンルでビジネス展開をしていく。会員になると、同日発表されたロゴマークを自社の事業で活用することができる。

 緒川社長は「『宇宙港せんべい』でもいいので、商品を作ってビジネスとして回ることを見せたい。小さいことからビジネスにしていく」と話した。

 コンソーシアムに参加するかねひで総合研究所の花牟礼真一理事長は「先端技術を持った企業が沖縄に集積する可能性があり、非常に期待している。経済界だけでなく、行政や大学も含め県民一体となってプロジェクトを盛り上げていくのが大事だ」と話した。

 宇宙港事業について発信するアンバサダーに、県出身のタレント崎山一葉さんを選出した。コンソーシアムに参画する企業16社は次の通り。(順不同)

 ANAホールディングス▽エイチ・アイ・エス▽三菱地所▽三井住友海上火災保険▽シンバホールディングス▽光宮古商事▽琉球アスティーダスポーツクラブ▽吉本興業ホールディングス▽沖縄銀行▽リウボウ▽沖縄電力▽大米建設▽琉球銀行▽りゅうせき▽かねひで総合研究所▽沖縄セルラー電話