<校則・全県立高調査>校外活動制限は越権 内田良・名古屋大准教授の話


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内田 良(名古屋大准教授)

 校則と言いながら、学校の中だけでなく学校外の活動も禁止する校則はよくある。校門を出てしまえば保護者の元に帰したことになるのに、キャンプまで禁止するのは越権的でおかしなことだ。

 保護者も校則を厳しくすることでしつけに期待しているがゆえに、エスカレートしている。校則は端から見て異常と思えるものがあるが、先生も生徒も当たり前になってしまい、見直しはまだまだ進んでいない。

 イエローカード(マナーカード)はほかの都道府県では聞いたことがない異常な制度だ。校則が辛うじて存在していい理由は、罰則がないからだ。30年以上前の熊本丸刈り訴訟は、丸刈り強制を人権侵害だと訴えた原告が敗訴したものの、従わなくても罰則がないというのが判決理由の一つだった。罰則により校則が拘束力を持つと、生徒の生活、将来を縛ってしまうので問題だ。

 学校には校則に明文化されていないルールも多い。先生の運用で決められ、生徒が縛られるというのは恐ろしいことだ。

 校則を緩めれば学校が荒れるという意見があるが、いじめや暴力など人を傷つける行為は法律で禁止されている。キャンプが危険と言うなら条例で禁止すればいいのであって、校外の活動は校則で縛るべきではない。
 (教育社会学)