公共交通機関の展望 コロナ後見据え努力 沖縄都市モノレール社長 渡慶次道俊氏<焦点インタビュー>


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渡慶次道俊氏

 沖縄都市モノレール(那覇市)は6月21日の株主総会で、琉球銀行出身で前OCS社長の渡慶次道俊氏が新社長に就任した。乗客の激減を受けた2021年3月期決算は5年ぶりの赤字を計上するなど、新型コロナウイルスの感染拡大によって公共交通機関は厳しい経営を余儀なくされている。渡慶次社長に今後の展望などを聞いた。

Q.就任の経緯は。

 「前社長の任期満了に伴い、県から銀行に話があって、私に打診が来た。誰かがやらなければならないと思い、受けることにした」

Q.新型コロナの影響で決算は赤字となった。

 「沖縄都市モノレールの個別の事由ではなく、環境の問題が大きい。観光客の減少に加えて、自家用車通勤への振り替え、イベントの中止による県民の利用減が大きく響いている。しかし、ずっと赤字を続けているのではなく、5年間は黒字を維持していた。コロナ禍のトンネルを抜ければ光は見えると思う。とはいえ環境が良くなるのをただじっと待つわけにはいかない。状況が好転した時に一気に伸ばせるような努力をしていく必要がある」

Q.金融のプロとして、財務状況をどう見るか。

 「一番気にしていたのはキャッシュフローだが、手元資金はあるので当面は問題ない。今後、車両の3両化などで、大きな支払いと補助金が入るタイミングがずれることは考えられるが、民間金融機関と事前にしっかり調整して対応していく」

Q.車両の3両化計画は。

 「将来的に輸送力の強化は必要なので、粛々と進めていく。コロナ以前は、大きな荷物を持った外国人観光客が多く、車内は非常に混み合っていた。新型コロナの収束後には観光も回復する。キャパシティーを広げておくことが大事だ」

Q.人材育成については。

 「同業他社での研修など、外部との関わりを増やして育成していく。OCS時代にも実行したが、研修などは必ず複数で行かせる。人数を増やすことで研修や出張に行く人の偏りをなくしていく」

Q.コロナ禍の収束後、まずは県民の利用を回復させることが必要になる。どう対応するか。

 「どうやって人を集めていくかについて、まだ具体的な妙案はない。ただ、会社の外にアンテナを張って、出掛けて行って外部の意見をいろいろ聞いて試行錯誤していく」

Q.社長としての抱負は。

 「ビジョンを示すことが社長の役割だが、それと同時に現場にこちらから近づき、個々の抱えている重荷を解消していきたい。環境が好転すれば業績は右肩上がりになると思うが、右肩上がりの角度をどう高めていくかは職員次第だ。重荷を取り去って、前を向いて働けるような環境をつくっていく」

(聞き手 沖田有吾)