沖縄の夏は野菜の季節 「王様」「宝石」でパワーチャージ<J1グランプリ>


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 梅雨が明け、県内も夏本番を迎えました。照りつける太陽の下、気温は連日30度を超え、セミの大合唱に起こされる毎日に体力と気力を奪われがちなそこのあなた。旬の野菜には、季節の体調変化に応じて体を整える効能があることをご存じでしょうか。夏バテには夏野菜。乾いた体を癒やす水分や紫外線から身を守るビタミン類も豊富です。そこで今回は、県内各地イチオシの野菜4種をご紹介。島の恵みをため込んだ野菜を食べてパワーを取り込み、暑さを楽しみましょう!

名護・中山区のゴーヤー

プレビュー 「夏の王様」食べ方多様

名護市中山区のゴーヤー

 沖縄の「夏野菜の王様」とも言われるゴーヤー。鮮やかな緑色と苦さが特徴で栄養価が高く夏バテにも効果的とされる。夏の食卓に欠かせない存在だ。生産が盛んな名護市中山区は2002年「ゴーヤーの里」を宣言しブランド化に取り組んできた。

 同区公民館によると、全世帯の3分の1以上がゴーヤーを生産しているという。仲嶺真夫区長(71)は「専業というより、家庭菜園などで作っている人が多い。だからこそ盛んだ」との見方を示した。

 中山区に住む人にとって、ゴーヤーは身近な存在だった。生産者の名城政幸さん(74)は「昔はどの家庭でも、自分たちで食べる分だけ育てていた」と振り返る。90年代から2000年代にかけて、地元企業と協力しジュースやお茶、黒糖、ふりかけなど商品開発にも力を入れるようになったという。今年6月には、ラーメン店「暖暮」で、同区産ゴーヤーを使ったラーメンが販売された。

出荷前のゴーヤーを見せる生産者ら=2日、名護市中山

 食べ方もさまざま。生産者の田仲康清さん(77)は「ゴーヤーをスムージーにして食べるとおいしい」と笑顔。パイナップルなどのフルーツと一緒にミキサーで作るという。「みそあえもおいしい」と勧める。生産者で、自宅が出荷場所になっている田仲康則さん(75)は「どれもおいしいが、やっぱりゴーヤーチャンプルーが一番」ときっぱり。

(長嶺晃太朗)

うるま・オクラ

プレビュー 万能、食物繊維も豊富

オクラの花と実

 断面は星形で見た目のキュートさもさることながら、ゆでても良し、あえても炒めても良し、生で食べてもおいしい、まさに夏の万能野菜「オクラ」。ほっそりとした実の様子から「恋で身が細る」という花言葉を持つが、独特のねばねばは食物繊維たっぷりの証しでダイエットにも効果的だ。恋せずともほっそりした体形がかなえられるかもしれない。

 「おなかが弱いので、実はあまりオクラを食べない」。少し申し訳なさそうに語るのは、うるま市勝連南風原のオクラ農家・仲直輝さん(57)。ぬめりの成分の一つ、ペクチンは整腸作用、コレステロールを排出する作用があり便秘を防ぐ。「健康に良いのは確か。本当にすぐ出るので人には勧めるが、自分は…」と笑う。

 鹿児島県など暖かい地域で作られ、県内各地でも生産されている。仲さんによると、うるま市の農家では収穫、ネット詰め、出荷までの全工程を家族ぐるみで行うことが多いという。同市は県の拠点産地にも認定されている。

「オクラは夏バテ防止に最適ですよ」と語る農家の仲直輝さん=7日、うるま市勝連南風原

 ビタミンを豊富に含み免疫機能を高め、夏バテ防止に最適な上に、家族愛に包まれて育った、うるまのオクラは今が旬! ぜひ味わってほしい。

 (新垣若菜)

南風原・はえばる美瓜(ヘチマ)

プレビュー 沖縄そばとも相性よし

収穫間近のヘチマ

 夏の日差しを浴びながら緑輝くナーべーラー(ヘチマ)は、ミネラルやビタミンをたっぷり含んだ沖縄ならではの夏野菜だ。食用ヘチマとしては生産日本一の南風原町のヘチマは「はえばる美瓜(びゅうり)」とも呼ばれ、県内外から評価を受けている。JAおきなわ南風原支店によると、同支店のヘチマ出荷量は2019年が98トン、昨年は92トンだった。

 「ヘチマは農家にとって夏の収入源」と笑顔で語るのは、南風原町山川在住の生産農家・神里繁さん(69)。神里さんは親から農地を受け継ぎ、約20年ヘチマやカボチャなどを栽培してきた。7日、八重瀬町富盛にある神里さんの畑は一面黄色いヘチマの花に覆われていた。よく見ると、花の下には小さな実も実り始めていた。「いつもなら収穫の時期を迎えるが、今年は長雨が続いたせいで遅れているさ」と苦笑い。「あと数日たてば立派に育って収穫できる」と自信をのぞかせる。

約20年ヘチマを栽培する神里繁さん=7日、八重瀬町富盛

 ヘチマと言えば、豆腐、ポークランチョンミートなどとみそで煮込む「ナーべーラーンブシー」が定番だが、神里さんはぶつ切りにしたヘチマに缶詰「MAYFAIR(メイフェア)」と沖縄そばを混ぜた一品がお薦めという。「ヘチマはたっぷり水分を含んでいて甘みがある。メイフェアの具と一緒に煮た後、そばを混ぜて食べるとおいしいよ」と絶賛した。

 (金城実倫)

宮古島・プチぷよ(トマト)

プレビュー 口内ではじける「宝石」

「島に食べに来て」と話す宮平浩幸さん=6月28日、宮古島市平良

 まるで宝石のようにつやつやと輝く赤い小さな実。つまむとぷにっとした弾力でほおばるとぷちっとはじける。ジューシーな果汁が一気に広がり、さくさくとした果肉の食感が小気味いい。新食感のトマト「プチぷよ」が宮古島で話題になっている。

 生産農家の宮平浩幸さん(32)は農家になって12年。若い感性を生かして挑戦を続ける。プチぷよの生産を始めたのは6年前。実は宮平さんはトマトが嫌いで「トマト嫌いでも食べられるものを作ろうと思って始めた」とニヤリ。

 プチぷよは宮城県で開発され、2008年に品種登録された。一般的なプチトマトと比べて極端に皮が薄く、果肉の層が厚いのが特徴。皮がはじけ、口に残らない独特の食感もこの特徴が生み出している。

 宮平さんは10株から栽培を始めた。口コミで評判が広がり、今では千株を育て、年間約5トンを出荷する。

新食感のトマト「プチぷよ」

 プチぷよの弱点は皮が薄いために傷みやすく長距離輸送ができないこと。宮平さんも出荷先は市内に限定している。出荷分はその日の朝に収穫し、自ら直売所に卸す。「宮古島でしか味わえない島の新名物になればいいな。ぜひ食べに来てほしい」と笑った。

 (佐野真慈)

 夏野菜で暑さ乗り切ろう

 夏野菜の特徴は、太陽の日差しを浴びて色が濃く、栄養価が高い、炒めても和え物でも煮物でもおいしく、いろんなアレンジができる―といったところでしょうか。

 ゴーヤーはゆでた鶏肉(ツナ缶でも可)とシソとマヨネーズであえるとおいしい。オクラはベーコン巻きにして弁当に。煮物でもおいしく、ゆでて納豆やメカブに混ぜると“健康食”を食べていると実感できます。ナーべーラーとナスは、個人的に豚バラ肉との相性が良いと思う。トマトは普通のサイズかプチトマトかどっちを買うか迷います。暑さもこれからが本番。夏バテしないよう、夏野菜を食べて乗り切ろう。

(亜)