「校則、みんなが作る側に」 全国13中高生徒が見直しへ オンラインで情報共有


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オンライン上で開催された「カタリバ校則見直しプロジェクト2021夏」=11日(「カタリバ」提供)

 全国で子どもの教育支援活動をしている認定NPO法人「カタリバ」(東京)は11日、オンライン上で「カタリバ校則見直しプロジェクト2021夏」と題したシンポジウムを開催した。校則見直しに取り組んでいる全国各地の学校から生徒が参加し、「制服や髪形の校則が、ジェンダーで悩んでいる生徒をさらに悩ませている」「実際に行動してみせることで、他の生徒の気持ちを変えたい」などの意見を伝えた。有識者を交えて、これまでの取り組みや課題、今後の展望なども共有した。

 「カタリバ」は19年度から、校則変更を目標にするのではなく、見直しのプロセスを重視する「ルールメーカー育成プロジェクト」に取り組む。11日のシンポジウムには、21年度の実証事業校10校と、先進事業校3校が参加した。

 「制服や髪形の校則が、ジェンダーで悩んでいる生徒をさらに悩ませている。みんなが納得できる校則を作りたい」。大阪府の私立大阪夕陽丘学園高校の生徒は周囲をどう巻き込むか、常に意識していると語った。「一部の生徒や先生で取り組むのではなく、学校にいるみんなが、ルールを作る側になってほしい」と思いを伝えた。

 岐阜県の大垣市立東中学校は、見直したいルールや校則について尋ねるアンケートについて、生徒会が生徒向けに実施した。生徒から広く意見を募集するために意見箱を設置し、1週間かけて意見を募った。今後は校内からだけではなく、保護者や地域の人たちからも意見を聞く予定だ。

 栃木県立足利清風高校の生徒たちは「(その他の)生徒たちが、どうせ変わらないと思っている」ことを課題に挙げた。実際に行動することで、他の生徒の気持ちを変え、少数意見を大事にしながら進める意向を示した。意見を交わした参加者の生徒らは「感じている壁や課題が似ている」「ルールを変えることが怖いと思うことも実はあった。他の取り組みを聞き、一緒に頑張ろうと思った」など気持ちを互いに高めた。

 有識者として参加した熊本大学の苫野一徳准教授は「決して先生対生徒にしないことが大事だ。自分たちの社会を自分たちでつくるという経験はとても意義深い」と話した。「カタリバ」代表理事の今村久美さんは「生徒たちの取り組みに多くの気付きをもらった。校則というテーマからスタートしているが、学校改革のいろんなスタートになりそうだ」と期待を寄せた。 

(嘉数陽)

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