「琉球パナマ帽」再び世界へ アダン編み、タフでクール 帽子ブランド「メゾンバース」


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 【那覇】「琉球パナマ帽を世界に広めたい」。帽子ブランド「MAISON Birth」(メゾンバース)などを運営する「PERIODOS」(ピリオド、東京都)代表の清原世太さん(40)=福岡県出身=は、戦前の沖縄で盛んに生産されていた琉球パナマ帽のファッション性を高めて商品化した。6月には米ニューヨークで販売を始め、洗練されたデザインと歴史的背景が好評だという。今後も国内外への販路拡大が期待される。

プラントアンドソイルの新城暖さん(左)と、ピリオドの清原世太さん(中央)=7月4日、那覇市安里のプラントアンドソイル

 琉球パナマ帽はアダンの葉で作られ、1世紀以上前は高級品として英国や米国に輸出された。当時の沖縄で泡盛と黒糖に次ぐ三大産業だったが、戦争やアダンの乱獲で産業は衰退した。

 清原さんは約11年前、昭和初期の帽子に関する文献で「アダン葉帽」に出合った。帽子を作り続けてきたが、使ったことのない素材があると知り、衝撃を受けた。

 それから沖縄に通い、資料を集めた。情報を頼りに、今もパナマ帽を編む「ボウシクマー」の木村麗子さんと出会い、商品化に向けた活動が始まった。

 琉球パナマ帽は、何度でも修復して使い続けることができる。さらに割れにくくタフだという。

 清原さんは「琉球パナマ帽の生産は雇用創出に加え、持続可能な社会の実現につながる」と期待を寄せる。防風林であるアダンの栽培は災害に強い土地を作る。フェアトレードを実践するため、販売価格は10~15万円に設定した。

 琉球パナマ帽は、アダンの葉の収穫から加工前の下処理、なめし、色と長さの選定を経て編まれる。1個を製作するために、計3カ月を要する。現在は主に4人のボウシクマーが編んでおり、最大で年間100個が限界だ。

 生産量を増やすためには、ボウシクマーの育成が欠かせない。技術指導を行う集積所の設置のほか、刑務作業で技術を教え、出所者の社会復帰支援を手掛けたいと考えている。将来的には、県内で行政の認可を受けた会社設立を目指す。

 琉球パナマ帽を県民に知ってもらおうと、7月2~4日には那覇市安里の「Plant&Soil」(プラントアンドソイル)で、国内初の販売会を開いた。客からは「かっこいい」「沖縄にこんなものがあったのか」と好評だった。同店プロデューサーの新城暖さん(35)は「県外、海外で多くの人に知ってもらいたい」と語った。

 琉球パナマ帽に関する問い合わせはピリオドまで。(電話)03(6721)1532。